自分が知らないうちに離婚を決意した配偶者が、子どもを連れて別居したことで、 子どもを奪われたと感じ、強い怒りを抱く方も少なからずいらっしゃいます。とにかく配偶者と会って話したい。 今すぐにでも別居先を訪れ、子どもを連れて帰りたい。そうお思いになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、子どもと会いたいのであれば、それは逆効果と言わざるを得ません。
面会交流においては、子どもを監護している親(「監護親」と言います。)の協力が不可欠です。 監護親である配偶者の意思に反して、配偶者の別居先を訪れたり、弁護士が入っているにも関わらず配偶者と直接連絡を取ろうとしたり、 子どもと会おうとしたりすると、配偶者に不信感を抱かれてしまいます。そうなると、面会交流が遠のきます。
別居している子供を連れて帰ることは、たとえ実の親であっても、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。
別居中の妻が養育する2歳の長男が、保育園から妻の母に連れられて帰ろうとしているところ、 妻の母が自分の自動車に長男を乗せる準備をしている隙をついて、夫が長男に向かって駆け寄り、背後から長男を持ち上げ、 自分の車まで全力で疾走し、長男を車に乗せて走り去ったという事案(最高裁平成17年12月6日判決)では、 夫に未成年者略取罪が成立しました。
最高裁判所は、 「被告人は,C(長男)の共同親権者の1人であるB(妻)の実家においてB及びその両親に監護養育されて平穏に生活していたCを, 祖母のDに伴われて保育園から帰宅する途中に前記のような態様で有形力を用いて連れ去り, 保護されている環境から引き離して自分の事実的支配下に置いたのであるから, その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らか」 としたうえで、夫が親権者の1人であることは、 違法性が例外的に阻却されるかの判断において考慮されるべき事情であると解しました。
そのうえで、 「本件において,被告人は,離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって, そのような行動に出ることにつき,Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから, その行為は,親権者によるものであるとしても,正当なものということはできない。 また,本件の行為態様が粗暴で強引なものであること, Cが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること, その年齢上,常時監護養育が必要とされるのに,略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると, 家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。」 として、違法性は阻却されないとし、未成年者略取罪の成立を認めました。
面会交流の実施においても、 過去に子どもの連れ去り行為があったり、連れ去りの準備行為があったり、連れ去りを疑わせる行為があると、 面会交流そのものを行う前提を欠くとして、審判や調停で面会交流が制限される事由になります。 また、実際に過去に連れ去りがあると、子ども本人が自身を連れ去った親に不信感を抱き、 面会交流に消極的になることもあります(東京高裁令和5年7月27日決定)。
配偶者の一方が、別居時に子どもを連れて出て行くことは、違法とまでは言い切れないというのが裁判例・実務の見解です。
大阪高裁平成17年6月22日決定は、「相手方(子を連れて別居した妻)は、未成年者の出生から抗告人(夫)との別居までの間、未成年者の監護を主として担っていたものであるから、そのような相手方が抗告人と別居するに際して、今後も監護を継続する意思で、未成年者とともに家を出るのは、むしろ当然のことであって、それ自体、何ら非難されるべきことではない。」とし、子を連れて別居した行為を正当としたうえで、別居後、子を連れ去った夫については、「このような、抗告人の行為は、例え、それが未成年者に対する愛情に基づくものであったという面があるとしても、法的手続を軽視するものと評されて当然のものであるだけでなく、相手方と未成年者との親密平穏な母子関係を事実上断絶させるという深刻な結果をもたらす点においても看過しがたいものというべきであって、これを正当化するいささかの事情も認められない。」と非難しています。
子どもと突然離れ離れになる苦しみは察するに余りあります。しかし、その苦しみのあまり急いで実力行使をしてしまうと、長い目で見れば逆効果になります。
地道に相手方配偶者(あるいはその弁護士)と交渉し、時には面会交流調停を申し立て、 子どもの写真や手紙のやりとりから始めるべきだと言われたら素直に従うことが、お子様と会う近道になります。
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令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
令和6年4月1日に名古屋家庭裁判所一宮支部に離婚等請求事件 について人事訴訟を提起しました。
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