一度取り決めた親権についても、「子の利益のため必要があると認めるときは」、家庭裁判所の手続を経て変更することができます(民法819条6項)。なお、夫婦間において親権者の変更はしない旨を合意していた場合でも、そのような合意は無効であり、子の利益のために必要であるときには、親権者の変更は可能です。
離婚をする際の親権者の定めについては、当事者間の協議により行うことはできます。
しかし、一度取り決めた親権者を変更する場合には、当事者間の協議により行うことはできず、
必ず家庭裁判所の手続を踏む必要があります。したがって、親権者の変更を求める場合には、親権者変更の調停(調停が成立しない場合には自動的に審判手続に移行します。)・審判を申し立てる必要があります。
親権者の変更を請求できるのは「子の親族」(民法819条6項)です。親権者変更の請求を行うのは、通常、子の父母です。
親権者の変更の判断基準は、「子の利益のため必要のあると認めるとき」です。
親権者の変更の一般的要件である「子の利益」の具体的判断は、監護の意思・能力・環境の優劣、監護の継続性、子の意思、子の年齢、親権者変更の申立に至った理由・経緯等の事情を総合的に考慮して行われます。
親権者の変更の判断基準は、基本的に、親権者の指定の判断基準と同様です。但し、一旦指定された親権者を変更することの可否の問題であるため、親権者指定後の事情変更のないようなケースにおける親権者の変更を認めることの可否については争いがあります。
この点について、親権者の変更は、①親権者指定後において当初予測していなかった事情変更が必要であるとする見解と、②特にそのような事情変更は不要であるとの見解(福岡高裁平成27年1月30日決定)の対立があるところ、親権者の決定は、子の利益を最優先すべき問題であることに鑑みれば、特に事情変更のないケースでも子の利益の観点から親権者の変更を認める後者の見解が妥当でしょう。
未成年の子は、親権者の変更に関する事件の結果により影響を受けることになるため、家庭裁判所は、当該事件の手続において、子の意思を把握し、適宜考慮しなければなりません(家事事件手続法65条、同法258条1項)。また、親権者の変更の審判をする場合、15歳以上の子について、家庭裁判所は、必ず、その陳述を聴かなければならない取り扱いになっています(同法169条2項)。
このように親権者の変更の判断において、子の意見は重要な判断事情とされており、特に15歳以上の子の意見は、その判断を大きく左右します。但し、子の意見を考慮する際には、その意見の形成過程等の事情を踏まえ、その真意あるいは自発性の有無・程度について細やかな配慮を必要とすることに留意しましょう。
親権者が再婚したことは親権者の変更の理由にはなりません。しかし、たとえば親権者の再婚相手による子に対する虐待・不仲を原因として、親権者の養育環境では子の利益を害するおそれのある場合には、子の利益のために親権者の変更指定を認めるべきケースはあるでしょう。
親権者による子の監護が子の利益を害する場合には、子の利益を害する程度に応じて親権者の変更とは別に親権喪失・親権停止の審判を求めることができます(民法834条、民法835条)。
親権の喪失・停止と親権者の変更は別の手続であり、親権の喪失・停止により他の親は自動的に親権者となるものではありません。
したがって、現に親権を行使する親に問題があり、他の親が監護することができるケースでは、親権者の変更を求めることになり、他に監護することのできる親のいないケースでは、親権の喪失・停止を求め、親権者のいない子につき未成年後見人を付けることにより対応することになります(民法838条1号)。
事務所外観
令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
令和6年4月1日に名古屋家庭裁判所一宮支部に離婚等請求事件 について人事訴訟を提起しました。
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