
夫婦で飼育していたペットは、離婚の際どうなりますか?
離婚の際のペットの取り扱いは、財産分与の問題となり得ます。夫婦間の話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判により決めることになります。
ペットは、子のように大切に育てている場合でも、法律上は「物」として扱われることになります。
そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていくことになります。そして、法律では、財産分与は、当事者の協議または家庭裁判所の処分(審判)によるものとされています(民法768条)。
このように財産分与の問題として扱われるのは、夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。
なお、ペットは財産の清算という財産分与の目的になじまないことから、分与対象財産ではないため、話し合いか民事訴訟でしか解決できないとする見解もあります。 一方、令和2年9月24日福岡家庭裁判所久留米支部審判は、夫婦が婚姻期間中に飼っていた犬3頭について、「積極的な財産的価値があるとは認め難いものの、一種の動産ではあり、広い意味では夫婦共同の財産に当たるから、財産分与の一環としてこれらの帰属等を明確にしておくのが相当である。」としました。

まずは夫婦間での話し合いにより決めることになるでしょう。
しかし、どうしても話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所に財産分与の調停あるいは審判を求める手続を経る必要があります。
家庭裁判所の財産分与についての審判は、「離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」と規定されています(民法768条3項)。
実際には、これまで主に世話をしてきた人や、今後の飼育環境を考慮して決められることになるでしょう。
先述した令和2年9月24日福岡家庭裁判所久留米支部審判は、夫が家を出る形で別居を始め、その後8年以上にわたって妻が犬を育てていた案件でした。裁判所は、夫が犬3頭を引き取ることは難しいことから、今後も妻が犬を飼育せざるを得ないことを認定しました。
なお、ペットの問題に限らず、財産分与は、離婚から5年以内(離婚日が令和8年3月31日以前の場合は2年以内)という期間の制限があることに注意が必要です。また、家庭裁判所の審判を求める場合、その前提として調停を起こす必要はなく、はじめから審判の申立を行うこともできますが、審判を申し立てても、裁判所の判断で最初は調停に付されることが多いでしょう。
それでは、離婚後にペットを引き取った者が相手に飼育費を求めることやペットと離れることになった者がペットとの触れ合いの機会を求めることは認められるのでしょうか。
法律が定めているのは財産分与の問題だけであり、物であるペットについては、人間の子のように養育費や面会交流についての規定はありません。したがって、離婚後、ペットの飼育費を請求することやペットと触れ合う機会を求めることは権利としては認められず、あくまで当事者の話し合いにより決めていくほかないでしょう。
ペットに養育費のような権利はありませんが、財産分与の内容として、飼育費の負担が決められることもあります
令和2年9月24日福岡家庭裁判所久留米支部審判では、犬3頭は夫婦の共有財産であり、持分割合は夫2、妻1と判断したうえで、飼育費用を2:1の割合で負担することとしています。
最後に、現状、離婚におけるペットの取り扱いはペットが法律上「物」であることを前提として取り扱うことになります。しかし、ペットは、命のある生き物であり、家、自動車、家財道具とは違います。
ですから、離婚後にペットを引き取ることになったものの、飼育費を請求することができず、その飼育が負担となったからといって、ペットを捨ててしまうことのないように注意しましょう。動物愛護法はペットを単なる物としては扱っておらず、ペットを遺棄することは犯罪であり100万円以下の罰金に処される可能性があります(動物愛護法44条3項)。
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