裁判によって、離婚をするためには、相手方に法律で定められた離婚の原因が存在することが必要です。
すなわち、裁判離婚は、夫婦の一方が離婚に同意しないにもかかわらず、一方的に離婚の請求をするものですから、離婚を認めてもよいだけの離婚を正当化しうる理由(これを離婚原因といいます)が必要になるのです。
日本では、民法770条1項で
の5つの離婚原因が定められており、これら以外の理由で裁判による離婚が認められることはありません。
また、裁判では、当事者が事実を主張をして、それを裏付ける証拠があるか否かによって判断をしていきます。そのため、裁判離婚の可能性がある場合には、早い段階で証拠を集めはじめることが大切です。
以下で、それぞれの離婚原因がどのようなものなのか、また立証のためにどのような証拠が考えられるのかについて解説していきます。
民法は770条1項の1号から4号までで、具体的な離婚原因を規定してきましたが最後に、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」と抽象的な離婚原因である5号を規定しました。この5号の離婚原因には770条2項の適用はありませんので、5号に該当するか否かの判断の中には、婚姻生活が破綻しているかに加えて、離婚されてもやむを得ない程度のものであるかを判断することが必要となります。
5号の離婚が認められた例としては、DV、犯罪行為、浪費、性交不能、正当な理由のない性交拒否、性格の不一致、価値観の不一致、愛情の喪失、相手方配偶者の親族との不和などが挙げられます。
裁判例の中には離婚を認めたものもあります。
東京地判平成9年10月23日の事案は、妻が婚姻後、ある宗教を信仰するようになり、夫は家族の誕生日やクリスマスを祝うこともできないなどの点から不満を持ち、その信仰をめぐる対立が生じたのですが、妻はどうしても信仰をやめることができないと主張しているケースでした。裁判所は「妻は・・・の信仰を絶ち難いものとしているのに対し、夫は、現在では信仰を変えない妻との間で婚姻生活を継続していくことは到底不可能であると考えており、そのような夫婦間の亀裂や対立は既に10数年にわたって継続されてきたものであり、これまでにも何度となく話合いがもたれ、その間、被告においてもいったんは原告との離婚を了承したこともあったことなどの経緯に照らすと、今後どちらか一方が共同生活維持のため、相手方のために譲歩するというようなことは期待できないものといわざるを得ないのであって、原告と被告間の婚姻関係はもはや継続し難いまでに破綻しているものと認めるのが相当である」と判示しました。
自らが婚姻の破綻の原因を作った配偶者を、有責配偶者といいます。5号は、離婚原因として「婚姻を継続し難い重大な事由」と規定しているだけですから、離婚を請求する者に責任がある場合でも離婚請求が認められるようにも読めます。しかし、自らが破綻の原因を作った者にもただちに離婚請求を認めれば、婚姻の継続を望んでいる相手方配偶者にとって酷な結果となります。そこでかつての判例は、「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴つたりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として有責配偶者からの離婚請求を否定しました(最判昭和27年2月19日 民集6巻2号110頁)。
しかし、有責配偶者からの離婚請求を否定しても、夫婦関係が修復するわけではなく、かえって、重婚的内縁や婚外子の問題を生み出すことが懸念されるようになりました。そこで最高裁は昭和62年、「夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至った場合には、・・・戸籍だけの婚姻を存続させることは、かえって不自然である」として、「夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」と判例を変更しました。(最大判昭和62年922日 民集41巻6号1423頁)
つまり、有責配偶者からの離婚請求でも、①夫婦の別居期間②未成熟子の有無③相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれるかを判断して離婚請求が認められる場合があるのです。
例えば、子に介護が必要な場合があります。
裁判例の中には、介護が必要な子がいる場合、その子がたとえ成年に達していても有責配偶者からの離婚請求を認めなかったものがあります。
裁判例:東京高判平成19年2月27日
この判例は、「(妻と夫は、)既に9年以上の間別居状態を続けており、かつ、双方とも夫婦としての共同生活を再開し継続していく考えを持っておらず、将来(妻と夫のが)夫婦としての円満な共同生活を再開し継続していく可能性は全くないと認められるから、(妻と夫の)婚姻関係は・・・すでに破綻しているものといわざるを得ない。」と破綻を認め、その破綻の原因が夫の不貞関係にあることを認めました。
その上で、夫婦の唯一の子は、成人し、大学も卒業しているが、着替え、食事、入浴等の日常生活全般にわたり介護が必要な状況にあるから、実質的には未成熟子と同視することができるとして、介護を行う妻が生活に必要な額を稼ぐことはできないとして、離婚請求は信義誠実の原則に反するとして、夫からの離婚請求を棄却しました。
精神病にかかっており、意思能力がないといえる配偶者に対して離婚訴訟を提起するためには、精神病にかかった配偶者に対してまず、成年後見開始の手続きをとらなくてはなりません。そして選任された成年後見人を被告として離婚の請求をすることになります(人事訴訟法14条1項)。すでに自分が相手の成年後見人となっている場合は、自分を被告として離婚の請求をすることはできないので、別に成年後見監督人を選任する必要があります(同法14条2項)。
裁判で、婚姻を継続しがたい重大な事由は、離婚を求める側が主張立証しなければなりません。すでに婚姻生活が破綻していることを立証することになりますが、前述のように別居などが重視されるので、別居している証拠、例えば他の住居についての契約書・住民票の変遷などは有力な証拠になるでしょう。また、有責配偶者からの離婚請求は否定されることがあるので、有責配偶者ではないと主張することも必要になる場合があり得ます。例えば不倫はしたが、その時点で夫婦関係は既に破綻していた場合は有責配偶者であることが否定されるので、このような証拠がある場合は客観的に証明できる方法を探ることが大切です。
「性格の不一致」「不倫・浮気」「暴力を振るう」など、離婚の動機はさまざまですが、最も多いのはどんな動機でしょうか?
ランキングでその動機をご紹介しつつ、離婚が認められる代表的なケースをご紹介します。
法律で決められた5つの離婚原因と、それが認められるために必要な証拠について、もっと詳しく解説します。
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令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
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令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
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