失恋

亀井勝一郎（1907-1966）は、数多くの著作を持つ文芸評論家。 「結婚とは恋愛が美しい誤解であったことへの惨憺たる理解である。結婚は恋愛への刑罰である」『青春論』（角川文庫）という言葉には、結婚への絶望感が表現されている。

確かに結婚すると恋愛中には分からなかった相手の様々な面が見えてくるのだが、その短所だけではなく長所を見るようにしたいものです。

孤独

チェーホフ（1860～1904）は、ロシアを代表する劇作家であり、短編小説家。長編戯曲『かもめ』、 『ワーニャ伯父さん』、『桜の園』、旅行記『サハリン島』など多くの著作がある。41歳で女優と結婚し、自身の結婚生活は44歳で病死するまで順調であったといわれる。標記の言葉は、人間観察力に優れたチェーホフならではの表現といえます。

誤解

ワイルド（1854－1900）は、ダブリン出身のイギリスを代表する作家・詩人。多彩な文筆活動を展開し、国内外に影響を及ぼした。『ドリアン・グレーの肖像』『幸福な王子』『サロメ』などが有名。男色家で、未婚のまま生涯を終えた。「正しい結婚」とは、お互いの理解ではなく誤解に基づくとの言葉は、 有能な劇作家としてもワイルドの結婚観をあらわしている。

会話

アンドレ・モーロア（1885-1967）は、フランスの小説家・伝記作家・評論家。代表作に『気候」『天使と野獣』 『ディズレーリ伝』『英国史』など。自身は、2度の結婚歴がある。標記の言葉は、『幸福な結婚』（新潮社）の一節で、理想的な結婚生活を表している。長い結婚生活においては次々に波が訪れるが、厳しい状況をも「退屈しない会話」と思えるようなら、まさに幸福といえよう。

雪景色、雪どけ

山本有三（1887-1974）は、栃木県出身の作家であり、後に政治家。代表作に『女の一生』『路傍の石』など。2度の結婚歴がある。標記の言葉は『夫婦げんか』の一節にあり、結婚生活は、最初は順調であっても、そのうち様々な波（ぬかるみ）が生じることを示している。現実的な「ぬかるみ」を如何に固めていくことができるかが、二人に求められているのであろう。

さめやすい

モンテーニュ（1533-1592）は、16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者、モラリスト。ユダヤ系の家庭に生まれ、法官、侍従などの経歴を持つ。結婚歴あり。自らの随想録である主著『エセー』は、国内外に影響を与えた。

標記の言葉は、夫婦が「一身同体」より「つかず離れず」の方が、結婚生活が長続きするのでは、との現実的な見方をあらわしたものといえよう。

精神の勇気

島崎藤村（1872-1943）は、岐阜県出身の浪漫主義詩人、後に代表的な自然主義作家となる。代表作に『破戒』『春』『夜明け前』など。既婚だが、愛人や姪との関係歴を持つ。

標記の言葉は、時代に翻弄され、結婚するも4人の娘を亡くし、また2度の不倫の関係に揺れ動いた自身の経験を持つ藤村が、「結婚」に対する畏怖観を表したものではないだろうか。

よい夫

デフォー（1660-1731）は、イギリスの作家・ジャーナリスト。代表作に『ロビンソン・クルーソー』『モル・フランダース』などがある。実生活では、時代に翻弄され、政治活動や政府広報官、スパイ活動にも従事した。結婚歴あり。

標記の言葉は、「よい夫」の意味の解釈にもよるが、理想の結婚相手を求めて選り好みを重ねる男女にとっては支えになるかもしれない。

愛

石川啄木（1886-1912）は、岩手県出身の歌人・詩人。代表的歌集に『一握の砂』、『悲しき玩具』などがあり、教員や編集人などの経歴をもち、貧困の生涯を送った。「大逆事件」への深い関心を持ち、社会主義思想に傾倒した。26歳没。結婚したが、自身の式には出席していない。

標記の言葉は、『森岡啄木手帳（渋民日記）』の一説であるが、啄木の経験からみた結婚観なのであろう。

賢、愚

長谷川如是閑（1875-1969）は、東京出身のジャーナリスト・評論家・政治家。大正デモクラシー期の代表的論客の一人。代表作に『現代国家批判』『日本ファシズム批判』『老子』など。標記の言葉は、『長谷川如是閑集：第2巻（如是閑語）』の一説である。

リベラルな立場から日本の風土や文化などを論じた如是閑からみると、結婚の現実はこのように表されたのであろう。

会話

ニーチェ（1844-1900）は、ドイツを代表する哲学者・古典文献学者。代表作は『ツァラトゥストラはかく語りき』『悦ばしき知識』など。大学教員を辞した後、「超人」「永劫回帰」などに関わる思想的著作は「生の哲学」と呼ばれ、内外に多大な影響を及ぼした。

標記の言葉は『人間的な、あまりに人間的な』の一節。失恋後、生涯未婚であり、錯乱のうちに死去した。

両目、片目

フラー（1608-1661）は、イギリスの神学者・歴史家。『イギリス名士列伝』『聖戦の歴史』などの著書がある。

聖職者として、結婚生活に悩める男女に送る言葉である。

仕合せ

武者小路実篤（1885-1976）は、東京出身の作家・詩人・画家、のちに政治家。理想主義による「新しき村」建設、白樺派の中心的人物として知られる。『お目出たき人』『友情』『人間万歳』などの著作がある。結婚歴あり。

標記の言葉は、『幸福者』の一節。

季節はずれ

トルストイ（1828-1910）は、19世紀ロシア文学を代表する小説家であり思想家。代表作『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など多くの著作があり、その非暴力的思想は、世界的に大きな影響を与えた。

12子を設けた「悪妻」との確執は生涯続いたことは有名である。

ロマンチック

ラッセル（1872-1970）は、イギリスの貴族であり哲学者・数学者・論理学者。大学で教鞭をとり、後に平和運動などに没頭し、2度の投獄経験を持つ。1950年にノーベル文学賞受賞。

生涯に4度結婚した。

悔いる

モリエール（本名はジャン＝バディスト・ポクラン：1622-1673）は、フランスの俳優・劇作家。フランス古典喜劇を完成したといわれる。『人間嫌い』『女房学校』『病は気から』などの著作が有名。

自身は舞台女優と結婚歴があるが、恋愛には奔放だったといわれる。