前回第6話の終わりの場面、大須の相談室で、美晴が娘の佳苗に10年前の離婚の大きな理由となった火事の時に自分が発した言葉
美晴「そして、腹立ちまぎれに、私は決して言ってはいけないことを口走った」
「『佳苗は、肝心な時にいつも、私の足を引っ張る、本当に嫌な娘だ』って」
「そして、私は、あなたを置いて出かけてしまった」
「それでも私は、『火事さえ起きなければ(佳苗の火傷に目をやって)こんなことにはならなかった。私は運が悪かったんだ』。
そう思っていた。……本当に、あの頃の私は母でもなく、人間でもなかった」
「この傷をつけたのは火事ではなく、私なのよ。ごめんなさい。……ごめんなさい」
その時、ドアが開いて、稲垣賢哉(利重剛)が入ってくる。
賢哉「熱のあるお前を置いて、仕事に行くような母親なんだ。娘を虐待したと言われても仕方のないことをした女なんだ」
佳苗「もう止めて!そんなにいがみ合うなら、私なんか生まれてこなきゃよかったじゃない!」
そして、今回、美晴の離婚相談室を訪れる相談者は、上品な老婦人・古賀房江(山田昌)です。
結婚して55年になる夫の基昭(天野鎮雄)と別れたいといいます。
房江「あの、今、何時でしょうか?」
(略)
房江「私は主人がおりゃいいんです」
美晴「それじゃ、どうして離婚を?」
房江「あのう。今、何時でしょうか?」
「……私、帰りますわ」
房江を追うと、病院の神経内科・物忘れ外来の窓口でした。
水野法律事務所
美晴「クライアントが認知症を患っているということになれば、夫と離婚したい気持ちが、どこまで本気なのか」
千賀子「例え、認知症の人でも、その尊厳は守ってあげたい。だから、悩んでいるのでしょ、竹内先生は」
美晴「夫婦仲は良さそうなのに、妻は何故、離婚したいと思い詰めているのか?……難問なんです」
水野「その難問を解き明かすまで、クライアントに付き合わないと、君の気が済まないんだろ」
「だったら、やることは一つじゃないか」
美晴「そうでした!」
美晴は、房江の自宅を訪問することにします。
房江「私はこれから、どこに行くんでしょう!」
「もう、親より大切な人なんです! 忘れてしまうなんて!(と泣く)」
「主人に迷惑かけたくないんです! 離婚したいんです」
「(介護老人ホームのパンフレット)ここへ入ります。あの人が可哀想で」
近くの寺で
夫の基昭「房江は、私の顔を忘れるまでに、離婚しようと思い込んどるんでしょ 」
「……それで房江の気が済むなら、離婚届けを作ってください」
「もうあと何年一緒に居られるか分からん夫婦にとって、紙の上の届け出みたいなもん、大した意味なんかない」
「アルツハイマーは、患者の最も信頼する人と一緒に過ごせると、生き生きといられて、進行も遅いらしいんです」
「房江にとって、それは私しかおりません。私は出来る限りのことをしようと覚悟しとります。例え、この先、私のことを忘れてしまう時が来ても……」
その後、美晴は、基昭から、房江が行方不明になったと知らされます。
美晴は、離婚相談に来た時の房江の言葉から名古屋城にいるのではと思い、基昭と共に名古屋城に向います。
しかし、そこにいた房江は、夫の基昭が声をかけても、首を横に振ると、また行こうとします。
房江「(泣きそうに)主人がどこにおるのか分からないんです」
認知症の影響で、夫と理解できてない事を察した美晴は、房江に、夫が家で待っていると言って自宅に帰ることを促します。
先回りして家にいた基昭を見た房江は、夫に
房江「ああ、あなた! 何だか、大切な約束があったような気がして、ずっと待ってたの!怖かった!もうあなたに会えないかと思って」
美晴は基昭に、
美晴「今回は、御夫婦の深い愛情を確認しましたので、お二人の離婚手続きをすすめることはできません」
「……でも、奥様、ほとぼりが冷めたら、また離婚したいと言ってこられるかもしれませんね」
「何度でもお引き受けますから。その度に、愛がある夫婦の離婚届は出せないんだと、分かって貰いますから」
基昭「……いつか、房江は、私を忘れる。その時は、私を知らない房江ともう一度、結婚するつもりで生きて行きます」
佳苗「……夫婦って長い間一緒にいると、あんなに深い結びつきができるんだね」
美晴「夫婦だから出来たんじゃなくて、喜びも悲しみも苦しみも、一緒に乗り越えて来たから出来たんじゃないかなあ」
「自分の幸せと同じだけ、相手の幸せを考えられるようになる」
最後は、水野所長が美晴にプロポーズしようとしますが、美晴に離婚相談の電話がかかって、このドラマは幕を閉じます。
認知症と離婚問題の場面としては、主に次の3つのケースがあります。
(1) 認知症患者数は増大するばかりです。200万人とも言われております。 そのうえ軽度認知障害を含めれば、900万人近く、これは、65歳以上の4人に1人が当たります。
老老介護と言われているように、社会では高齢者が高齢者を介護する形態が一般です。
年老いた配偶者を介護する老人、年老いた父母を介護する高齢の子夫婦。
介護の経済的、体力的、精神的負担はとても大きく、この負担が苦痛になる人が多く見えます。
一方、この介護に非常に精力的に取り組む方も見えます。
私が担当した案件では、高齢の夫が自宅近くの介護施設に入所している認知症の妻を毎日訪問して妻の体を拭くことをされていた方も見えました。
一方、将来義父母の介護をすることを求めれられ、それを拒否して、離婚された方も見えます。
どこまで、経済的、体力的、精神的負担に耐えられるかは、それぞれの夫婦の歴史と重なり合わせて、ケースにより大きく異なります。
千賀子 「(あきれ顔)正常な判断が出来るかどうかも分からないクライアントの離婚のことで、そんなに悩まなくたって」
「とまあ、ちょっと前までの私なら、そう答えていたかな」
「例え、認知症の人でも、その尊厳は守ってあげたい。だから、悩んでいるのでしょ、竹内先生は」
と展開していくのです。
ドラマでは、理想の老夫婦のように展開され、美晴は愛のある老夫婦を支えていくことになります。
(1)しかし、現実は、認知症と軽度認知症患者の増加は、大きな社会問題となっています。
前述のように、老老介護に、経済的、体力的、精神的負担に耐えられるかは、それぞれの夫婦の歴史と重なり合わせて、ケースにより事情が大きく異なります。また、認知症患者の介護は社会の責任ともいえるのです。
一方、介護の問題には、相続を視野に入れた関係者の複雑な利害が錯綜していることもあります。
(2)これらの中で、高齢者の皆様の現在~将来~死後の不安を解消し、尊厳ある生涯を送られるよう、弁護士は、どのようにサポートしていくか。
これから、弁護士にとり、認知症、軽度認知症の患者の皆様をはじめとする高齢者の皆様とのかかわり方は、より複雑な、難しいものとなるのではと考えております。
(1) 認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
つまり、後天的原因により生じる知能の障害である点で、知的障害(精神遅滞)とは異なるのです。
今日、認知症の診断に最も用いられる診断基準のひとつが、アメリカ精神医学会によるDSM-IVです。各種の認知症性疾患ごとにその定義は異なりますが、共通する診断基準には以下の4項目があります。
(2)患者数
認知症の最大の危険因子は加齢です。65~69歳での有病率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。
現時点で、我が国の65歳以上の高齢者における有病率は8~10%程度と推定されています。
専門家の間では、すでに65歳以上人口の10%(242万人程度)に達しているという意見もあります。
今後、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加し、2020年には325万人まで増加するとされます。
(1)軽度認知障害
ところで今日、軽度認知障害という用語がアルツハイマー病など認知症の前駆状態を意味する状態という意味で使われるようになっています。(引用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/)
その代表がMild Cognitive Impairment(MCI)です。
この状態での診断が注目される背景には、新たな治療法開発にともなって認知症の早期診断が重要になったことがあります。
前述のように従来の標準的な認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階は、けっして早期とはいえないのです。
そこで、認知症最初期の特徴を明らかにすることが必要になり、MCIが注目されるようになったのです。
(2)MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)
正常でもない、認知症でもない、軽度認知障害で早期発見・早期治療を
認知症ほどではないけれど、正常な「もの忘れ」よりも記憶などの能力が低下している「軽度認知障害」が最近注目されています。(引用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/)
軽度認知障害のすべてが認知症になるわけではありませんが、この段階から治療を開始することで、認知症の進行を遅らせるなどの効果が期待されています。
認知症ではなさそうだと思っても、もの忘れの程度がほかの同年齢の人に比べてやや強いと感じたら、念のために専門医を受診することが早期発見・早期治療につながることになります。
(3)厚生労働省ホームページには、このように書かれています。
ここで、大きな問題は、医師の水準と診療報酬での投薬に偏った治療方法です。
水準の低い医師ー医学部学生が知っているような化学反応も知らないため、危険であることを知らないで危険な投薬をする医師、診療報酬を水増しするため、不要な多くの薬を処方して、これらが反応してかえって軽度認知症を認知症に進行させてしまうなど。
この国の医療制度の負の問題が横たわっているのです。
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