離婚後、夫婦の一方又は双方が再婚した場合、その事実が面会交流のあり方に影響を与えることがあります。特に、監護親が再婚して子を再婚相手の養子とした場合には、子は新たな父母を持つ環境での生活を始めることになるため、その後の非監護親との面会交流が子の福祉に与える影響については別途考慮しなければなりません。
親の再婚そのものを理由として面会交流が禁止・制限されることはありませんが、再婚後の面会交流が子に与える影響を理由として面会交流が禁止・制限されることがあります。
たとえば、監護親が再婚した場合には、再婚後の面会交流が、子の新たに形成された家庭環境の安定を阻害し、子の精神状態を混乱させるなど悪影響を及ぼす可能性があります。また、非監護親が再婚した場合(特に非監護親の不貞により離婚となり、さらに離婚後に非監護親が不貞相手と再婚したような場合)、再婚後の面会交流に、子ども自身が拒否反応を示す場合もありますし、監護親の非監護親に対する悪感情が、子の健全な生育を阻害する可能性があります。こうした親の再婚後の面会交流により生じる子の生育環境に対する影響を考慮して、面会交流が禁止・制限されることがあるのです。
過去の裁判例では、親の再婚後の面会交流について、これを認めたもののと認めなかったものの双方存在しています。
監護親が再婚後の新たな家庭環境において子が安定して生活していることを理由として面会交流を拒否した事例につき、非監護親には新たな家庭生活に干渉する意図はなく面会交流を認めた場合でも子の福祉を害するおそれはないとして、これを認めた審判例があります(東京家裁昭和39年12月14日審判)。
また、同じく再婚後の新たな家庭環境において、子が安定して生活していることを理由として面会交流を拒否した事案につき、「早い時期から未成年者らに真実の親子関係を教えることが,長い目で見て家族関係の安定につながると考えられるところであり,非監護親と定期的な交流の機会を持てることで,未成年者らの自尊心を高め,健全な成長を促進するということもできる。そうすると,未成年者らの健全な成長の観点から,一時的な混乱はあっても,幼い時期から申立人との良好な関係を築かせることは欠かせないと考えられるので,面会交流を禁止することは相当でない。」として、面会交流を認めた事案があります(大阪家庭裁判所平成28年3月17日審判)。
ただ、面会交流の方法について、「再婚した後の1回当たりの実施時間については,未成年者Eが申立人のことを記憶しておらず,親子関係を構築し直す必要があること,未成年者らの生活リズムの安定及び翌日からの学校等の生活に支障をきたさないように配慮する必要があることに加えて,相手方の懸念(未成年者らとBとの関係性の安定)を考慮すれば,現時点で宿泊付きの面会交流を実施することは時期尚早であり,午前10時から午後5時までとすることが相当である。」として、監護親にも一定の配慮を示しています。
他方、再婚後の面会交流を認めることにより監護する親と再婚相手の葛藤に子を巻き込み、子の家庭の安定を害して、ひいては子の健全な育成を阻害するおそれがあることを理由として面会交流を認めなかった審判例があります(東京高裁昭和40年12月8日決定、大阪家裁昭和43年5月28日審判など)
親の再婚後の面会交流の可否について検討する場合には、再婚により新たに形成された子の家庭環境の安定に与える影響、再婚相手に配慮して面会交流に否定的となる監護親の感情、子と面会する親の再婚した元配偶者あるいはその再婚相手に対する悪感情などの複雑な問題を考慮しなければなりません。しかし、いずれにせよ、そこで大切となるのは、親の利益を優先するのではなく、子の福祉(利益)を最優先にして判断すべきということです。
そもそも、面会交流は、子の福祉・利益の観点から原則として認められ、その禁止・制限は子の福祉を害するおそれのある場合に限られます。
したがって、再婚により親が子の福祉とは関係なく個人的感情の問題から面会交流を求めたり、あるいは、拒否していることから直ちに面会交流の可否を判断することはありません。他方、親の再婚後の面会交流により常に子の福祉・利益が害されるものでもありません。
そうだとすると、親の再婚後の面会交流については、親の再婚した事実それ自体を理由として一律に面会交流が否定されることはなく、再婚後の面会交流を認めることにより子の福祉を害するおそれのある場合には、面会交流は禁止・制限されると考えるべきでしょう。
具体的には、たとえば、親の再婚後でも子が親との面会交流を積極的に望んでいる場合には、あえて面会交流を禁止・制限する必要はなく、これを禁止することは逆に子の福祉に反することにもなりかねません。他方、子が親との面会交流を積極的には望んでおらず、再婚後の面会交流を認めることより監護する親と再婚相手との葛藤に子が巻き込まれるなど新たに形成された家庭環境の安定を阻害する事情のあるような場合には面会交流の禁止・制限を認めることになるでしょう。
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