自分名義の不動産や預貯金などの財産は離婚後でも自分の財産であると考えがちです。
しかし、財産分与において、財産分与の対象となる財産の名義を重視して分与の割合を決めてしまえば、夫婦共有財産の公平な清算はできません。
そこで、財産分与における分与の割合は、対象財産の名義ではなく、当該財産の形成に対する貢献度の割合により決めることとされています
それでは、そこでの「貢献度」は、どのように決めるのでしょうか。
夫が働いて得た収入により家計を支え、妻は専ら家事に専念して生活を支えるケースは稀ではありません。また、夫婦共働きの場合でも、妻は家事や育児のため就労形態が制約されてしまうこともあるでしょう。
このようなケースにおいて、夫婦共有財産の形成に対する貢献度を数字的割合により決めることは非常に難しい問題です。
そのため、過去の例を見ると、財産分与の割合を決める際には、実際の収入額だけでなく、家事労働を評価して、50:50の割合により財産分与を認める傾向にあります(名古屋高等裁判所判決平成12年12月20日、大阪高等裁判所決定平成17年6月9日、名古屋高等裁判所決定平成18年5月31日 )。
そして、現在の裁判実務では、財産分与において、一方配偶者の夫婦共有財産の形成に対する貢献度が大きいものと認められる特段の事情のない限り、分与割合は50:50とするルール(以下「2分の1ルール」といいます。)が確立しており、50:50とは異なる割合での財産分与を求める者は、そのような割合での分与を認めるべき「特段の事情」について、主張及び証明しなければならないと考えられています。
それでは、この「特段の事情」は、具体的にいかなる事情があれば認められるのでしょうか。
たとえば、夫が自らの能力により非常に有用な発明品を開発したことにより多額の収入を得た場合です。このように一方配偶者固有の能力あるいは努力により、他方配偶者の寄与・貢献とは無関係に形成されたことの明らかな財産である場合には「特段の事情」として2分の1ルールは修正されることになります。
過去には、病院経営者の医師の妻の2分の1ルールに基づく財産分与の主張に対して、財産取得については夫の経営手腕及び能力によるところが大きいとして、妻の主張を排斥した裁判例が存在します(福岡高等裁判所昭和44年12月24日判決)。
また、夫は船員として長期間留守にするため妻に家庭内の一切を任せていた事案で、夫が一級海技士で、1年に6か月から11か月という海上勤務の多さから多額の収入を得られた事案で、婚姻中形成財産には夫の専門資格による寄与が大きいとして専業主婦である妻の寄与を3割として、7600万円のうち約3割の2300万円を母に分与するとした判例があります(大阪高等裁判所平成12年3月8日判決)。
たとえば、夫が仕事、家事及び育児などをこなし、妻は毎日パチンコに通い借金まで作るような状態では、明らかに夫婦共有財産の形成に対する妻の貢献度は低いため、2分の1ルールを修正すべき特段の事情が認められるでしょう。
過去には専業主婦の場合とは逆のケースですが、妻が夫婦の財産形成のため長年に渡り勤勉に努めてきた一方で夫が女遊びや飲酒などの遊興に耽っていたケースにおいて、妻に夫婦共有財産の7割を分与すべきであるとした裁判例があります(松山地方裁判所西条支部昭和50年6月30日判決)。この事案では、妻は家計を助けるために始めた石油の外交販売をその努力によってプロパン販売業にまで発展させていたのに対し、夫は酒色に溺れて暴力をふるって妻を追い出し、妻は夫と別居後、独力で二人の子供を大学まで進学させていました。
たとえば、夫婦のマイホームを購入するにあたり、妻が親族からの贈与金を頭金として入れたような場合には、当該頭金の金額分だけ財産形成に対する寄与度が異なるのは明らかですので、このような場合には、頭金の金額を考慮して2分の1ルールを修正します。
なお、夫が婚姻中に自分の小遣いで買った勝馬投票券が当たり万馬券となり、この利益で不動産を購入した事案では、小遣いが生活費の一部として家計に含まれていたことから、万馬券で購入した不動産を夫の特有財産と見るのは相当でないとして、そもそも特有財産ではないと認定しています(奈良家庭裁判所審判平成13年7月24日)。
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令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
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