文責:弁護士 渡邊 佳帆
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目次
Q.元夫が破産しました。もう養育費は支払ってもらえなくなるのでしょうか?
養育費は、破産をしても支払う義務が残ります。
そもそも破産手続とは、対外的に支払い能力がないことを示して、自分の財産を換価して、必要最低限の分を残して、それ以外を債権者に均等に配分する手続きです。
たとえばAさん 1500万円 Bさん 500万円 の貸金債権があるよ、というときに、配分できるお金が100万円しかないとします。
その場合、Aさんは75万円、Bさんは25万円のお金を受け取ります。これを配当と言います。
配当後、免責許可決定が確定すると、残った債務については支払義務が免除されます。これを免責といいます。
AさんとBさんは、上記以外の支払いを受けられない、と言うことになります。
配当できるお金が0円のときは、残念ながら1円も支払いを受けられません。
上記のように、破産すると債権が免責されて、債権者は一部しか、あるいは全く支払いを受けられなくなることが原則です。
しかし、養育費は、免責されないことが破産法で規定されています。
破産法253条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
四
ハ 民法第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
そのため、養育費も破産手続の中で取り扱われますが、免責の対象にはなりません。
ちなみに、債務を減免して支払っていく民事再生手続でも、養育費は減免されません。
第二百二十九条3 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
三 次に掲げる義務に係る請求権
ハ 民法第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
なお、結婚中の生活費である婚姻費用も、破産手続において免責されず、民事再生手続でも減額されません。
滞納している養育費も、免責はされません。
しかし、破産手続きの対象になるため、破産者(夫)が自由に支払いをすることはできません。あくまで、破産手続きのなかで支払いがされるか、それがされなければ、破産者の債権を免責する裁判所の決定(免責許可決定)が確定した後で、支払いを求めることになります。
ちなみに、民法の改正で、養育費は先取特権になったので、破産手続きの中で弁済がされる場合は、優先的に支払いを受けることができます。
先取特権については、こちらのサイトもご覧ください。
時効に注意する必要があります。
養育費は、請求できるときから5年以内に請求しないと、時効によって請求権が消滅します。
毎月支払うことが決まっている場合は、その月から、その月に支払う分の養育費について、5年の時効が始まります。
例えば、令和8年1月31日に5万円の養育費を支払う合意内容の場合、令和13年1月31日までに請求しなければ時効にかかってしまいます。
時効が近い場合は、ひとまず、支払いの催告をして、6か月間猶予を得るなどの対策が必要です。
破産手続が始まった後に支払期限が到来する養育費については、破産手続と関係なく支払いを受けることができます。
ある場合があります。
という場合には、破産管財人から、払われた金銭を元に戻すように請求されることがあります。これを、否認権の行使と言います。
破産管財人とは、裁判所から選任され、破産手続きを遂行する人です。
破産手続において勝手に減額されることはありません。
しかし、破産手続とは別で、養育費減額調停を申し立てられ、元夫から減額を求められる可能性があります。
もし調停で合意できなければ、裁判所が審判によって減額すべきとの判断をする可能性があります。
養育費の合意をしないまま離婚しても、法定養育費を支払ってもらうことができます。
法定養育費については、
https://bengoshi-okazaki.com/blog/_rikon/12962/
を参照してください。
法定養育費も、破産手続きにおいて免責されません。そのため、元夫が破産しても払ってもらうことができます。
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