- 離婚後、子供に会えていない
- 離婚する前に、子供に会える機会をきちんと確保しておきたい
- DV夫と離婚、子供に会わせわせなきゃいけない?
面会交流とは
離婚後、親権者とならなかった親や子どもを監護養育していない親(非監護親)が子どもと直接会ったり、面会以外の方法で意思疎通を図ること(交流)を面会交流(または面接交渉)といいます。
面会交流には以下のようなことが含まれます。
- ① 直接会う
- ② 手紙(写真、通知表)を送る
メールやSNS等によってコミュニケーションをとる - ③ 誕生日やクリスマスにプレゼントを渡す(送る)
コロナ禍においては、移動や直接会うことにリスクがあるため、電話やTV電話を利用した面会交流も、頻繁に行われています。
メール・手紙やプレゼントを送るなど、直接会わなくても「面会交流」になるんですね!
直接会う以外の方法による交流を「間接的面会交流」と呼ぶこともあります。
面会交流は誰のどんな権利?
本当は親権がほしいけど、難しいのはわかっています。でも子供に会える機会は絶対に確保したいです。
親のためだけでなく、子どもの養育のためという考え方もできます。 まずはきちんと現状を整理しましょう!
面会交流は「面会交流を求める請求権」ではなく、「子どもの監護養育のために適切な措置」を求める権利であるとされています。
- ① 子どもの親であること自体により有している自然権であるとする考え方
- ② 子どもの監護養育に関する権利であり『⺠法766条1項の子どもの監護』について必要な事項として、父母の協議又は家庭裁判所の審判によって形成される権利であるという考え方
- ③ 抽象的には①であるが、具体的には②により実現されるという考え方
- ④ 親権(監護権)の一部をなす権利であるという考え方
- ⑤ 親の権利というよりも、子どもの福祉のために認められる、子どものための権利であるという考え方
また、面会交流事件は増加傾向にあります。その背景には
- 離婚自体が増加している
- 少子化傾向により、数少ない子供への親や親族の関心が高くなっている
- 父親が育児に直接関与する機会が増え、育児への関心が高くなり、同時に育児に対する自信を持つようになっている
- 当事者の権利意識が高くなっている
等が考えられます。
面会交流は、子どもを巡る紛争のうち、対立が激しいもののひとつになってきているのです。
※ 従来、⺠法上直接明文で定めている規定はありませんでしたが、平成23年の⺠法改正(24年施行)により、⺠法766条が改正され、明文で規定されました。
面会交流の決め方
面会交流の実施の可否および内容について明確な判断基準はありません。
もっとも、⺠法でも規定されているとおり、そこでは「子の利益」が最優先 として考慮されます。そして、ここでいう「子の利益」については、
- 面会交流についての子の意思(一般的には15歳以上の子については、その意思が尊重される傾向にあります。)
- 面会交流により生じる子の精神状態あるいは生活環境への影響の有無および内容
- 面会交流により生じる監護権者の養育環境への影響の有無および内容
などの事情を総合的に考慮して判断されます。
面会交流について協議する内容
面会交流の内容については、子どもの成⻑、親の事情等により変わってきますので、変化に応じて柔軟に対応できるよう、あまり具体的に内容を固定せず、状況に応じて協議して決めていくのが望ましいです。
一方、当事者間で面会交流の内容について争いがあったり、後日協議できるような信頼関係が備わっていない場合には、面会交流の条件が守られたか否か確認できるよう、内容等について具体的に定めておく必要があります。
具体的にどういった内容を決めておくのか?
離婚するにあたって面会交流はさせてくれると言われていますが、本当に実施してもらえるか心配です。きちんと実施できるよう、どういったことを決めておけばいいでしょうか?
面会交流は、主にこの①〜③を当事者間で協議して決めます。
当事者間での協議がまとまらない場合には調停を申し立て、調停委員や調査官の協力を得て決めていきます。それでも調整ができない場合には、審判に移行し裁判所が判断します。
① 面会交流の頻度・時間
当事者間に特に争いがなかったり、当事者間に後日協議できるような信頼関係が整っている場合、面会交流の頻度については、「月〇回」「偶数月に1回」と定めたり、より具体的に「第2土曜日」など特定の曜日をあらかじめ決めておくこともあります。
通常は月1回程度とされていますが、これには特に決まりが存在しているわけではありません。子の福祉・利益に沿うのであれば、月1回未満あるいは月2回以上でも問題ありません。
また、面会交流が実施できなかった場合についての代替日を定めておくこともできます。
② 面会交流の場所
面会交流の場所については、あらかじめ特定の場所を指定することもでき、他方、面会交流の実施の都度協議により決めることでも構いません。引き渡し場所だけ決めておいて、その後の場所については非監護親に任せるという事も出来ます。
面会交流の場所についても特に決まりはないものの、たとえば非監護親による子どもの連れ去りのおそれのある場合、公の場を指定するなど工夫が必要です。
面会交流の具体的内容・方法
面会交流の場所については、あらかじめ特定の場所を指定することもでき、他方、面会交流の実施の都度協議により決めることでも構いません。引き渡し場所だけ決めておいて、その後の場所については非監護親に任せるという事も出来ます。
面会交流の場所についても特に決まりはないものの、たとえば非監護親による子どもの連れ去りのおそれのある場合、公の場を指定するなど工夫が必要です。
面会交流が制限される場合
夫からDVを受けており、子供との面会交流はとても不安です。どうしても会わせなければいけませんか?
離婚時の状況や子の発育に対する影響、親の再婚などにより、面会交流が制限・拒絶される場合もあります。
調停・裁判離婚の場合の面会交流の決め方
面会交流を求める調停においては、調停委員・裁判官、多くの場合は調査官を交えて、面会交流についての協議を行い、一定の合意に達すれば、その合意内容が調停調書に記載されます。
調停調書に記載された義務内容を履行しない場合には、記載された内容によっては、強制執行することができます。
ただし、直接的に面会交流そのものを強制する仕組みは、現時点ではありません。
面会交流は、子どもの心身にいろいろな影響を及ぼすので、それが法的な権利であるとしても、非監護親がいわば自由かつ無制限に子どもと面会できるというものではありません。
裁判所には、一定の方向性・考えがあります。
調停条項と異なる面会交流はできない
面会交流に関する調停において調停条項として記載された内容は父母の双方を拘束することになりますから、調停条項に定められていない時期、方法、場所などによる面会交流は基本的に応じてもらえない場合が多いと思われます。
ただし、調停条項として定められた内容は、当事者の合意に基づくものですから、父母の合意があれば調停条項に記載されていない内容での面会交流を実施することはできます。
別居中や離婚調停中は面会交流できる?
離婚はしていないのですが、妻が子を連れて出ていってしまいました。
子供に会いたいのですが、離婚していなくても面会交流はできますか?
別居中でも面会交流に関する決定を行うことができますが、子の福祉が害されるおそれがあれば禁止・制限されます!
面会交流は、非監護親と子の交流の断絶を防ぎ、子の健全なる発育を実現するために必要となるものです。そのため両親が離婚する前、両親が別居した場合でも生じます。面会交流に関するルールについては、離婚時と同じです。
年齢・状況別面会交流について
離婚が子供に与える影響を知ることは、面会交流をするか否か、またその内容を考えるうえで非常に大切です。
離婚が子供に与える弊害を少しでも少なくしてあげるのが離婚した親の責任ですので、そのために面会交流が必要なのであれば、積極的に取り入れるべきですし、むしろ面会交流が離婚後やその先の子供の健全な発育に障害となるのであれば、消極的に考えるべきだからです。
離婚が子供に与える影響は、子供の発育段階によっても異なってきます。
また、子供や親が置かれている環境や、離婚時の状況等により、面会交流において考慮されるべきことが異なります。年齢別・状況別の面会交流についてまとめたページをご覧ください。
年齢別の面会交流▼
状況別の面会交流▼
面会交流の傾向について
平成23年の「民法766条」改正の意義
⺠法は、協議離婚における子の監護に関する協議事項について、以下のように規定しています。
「子の監護をすべき者、父または母と子との面会およびその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の監護」(民法766条)
について定めなければならず、その際には
「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(民法771条)
この現行の⺠法766条は平成23年に改正されたものであり、その際、従前は面会交流についての直接の言及はなく解釈として面会交流に関する事項は「監護について必要な事項」に含まれると理解されていました。これが平成23年の改正により、面会交流という言葉を用いて明確化しました。
さらに、面会交流に関する事項を決める際には子の利益を最優先する、という従前の実務でも当然のルールとして理解されていたものを法律において明文化し、明確にしました。
面会交流についての先進的な取り組み
日本国内において、現在面会交流について⺠間や公的なサポートが普及しつつあります。また、海外においては、面会交流についてのより先進的な制度が導入されております。参考までに以下にてご紹介しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。
面会交流に関する解決事例のご紹介
解決事例1/ 男性・Aさん(40代)会社員のケース
妻から過剰な離婚条件を突きつけられ揉めています。多感な時期の子供との距離も問題です。妻の条件はなんだか納得いかないし…
[家族構成] 自分(夫)、妻、子1人
[婚姻期間] 15~20年
Aさんは妻との性格の不一致から離婚を希望していました。そこで、自ら離婚協議書を作成して妻との話し合いを進めましたが、妻に代理人弁護士がつき、代理人弁護士から離婚の合意書案が送られてきました。Aさんご本人では合意書案の内容が適正かどうか判断しかねたため、ご相談にいらっしゃいました。
妻(相手側代理人)の求める条件
-
Aさんが養育費を将来分も含めて一括で支払うこと
-
面会交流は相手方立ち会いの場合のみ認めること
-
解決金500万円を支払うこと
-
財産分与として高級外車及び不動産の共有分を相手方に譲渡すること
-
共済等の保険の名義人及び受取人を相手方に変更すること
これに対して、Aさんは
-
解決金に根拠がないこと
-
養育費を一括で支払うなら、中間利息を控除すること
などを主張し、その結果、
養育費の減額、解決金なし、その他財産分与という条件で離婚できました。
また、こどもの問題ありましたが、こどもがある程度大きく、多感な時期だったことから、
こどもへ手紙を送る ことから始め、それを妨げないという約束をしました。
弁護士の所感
相手方の請求が多額であったことから、裁判なども考えられましたが、双方に代理人がついていたことで、比較的早期に、裁判なども見据えた内容での可決が可能となりました。
相談例2/ 女性・Bさん(30代)のケース
暴力をふるう夫との離婚を決意したので相談にきました。しかし夫は自分のしてきたことを認めようともせず、子どもに会わせろと言います。
[家族構成] 自分(妻)、夫、子2人(子らは未成年)
Bさんは夫から暴力を受けており、それらから避難するかたちで子らを連れて別居していました。別居後、Aさんは、夫への恐怖心と嫌悪感から、面会交流を拒絶。
離婚については、調停での合意ができず訴訟に移行しましたが、面会交流について夫側から別途調停が申し立てられました。
本件では、何度も夫から暴力を振るわれてきた事案でしたが、夫が暴力の事実を否認し、直接的な面会交流を求めてきたため、裁判所に暴力の事実を認めてもらうことから始めました。
過去に受けた暴力による怪我の写真、診断書、暴言を吐いている際の音声データ等、多くの証拠を確保できている事案でしたので、それら一つ一つを証拠として提出し、夫に対する恐怖心が強いことを裁判所に訴えました。
その結果、裁判所としても、直接的な面会交流を行うことは困難であると判断し、手紙やメールを通じての間接的な面会交流の方法を模索することになりました。
最終的には審判に移行しましたが、裁判官と調査官の協力の元、試行的な間接交流を試したり、双方の希望を粘り強く調整し、当面の間は、手紙等を郵送する方法での面会交流をするということで合意に至りました。
弁護士の所感
裁判所が積極的に関与して双方の意見の調整をしてくれたため、審判ではなく合意という形で解決に至ることができた事案であると思っています。和解条項には、将来、調停を利用して再協議する旨の条項も入れました。
相談例3 / 男性・Kさん(40代)会社員のケース
別居以来子供に会わせてもらえません。妻は子供の受験を理由に話し合いを拒否してきました。
[家族構成] 自分(夫)、妻、子1人
[婚姻期間] 15~20年 (別居期間3年)
Kさんは度重なる転勤などから体調を崩してしまいました。妻と子どもは妻の実家で暮らしています。
単身赴任となった後、再び妻子との同居を望みましたが、妻から拒否され、別居が始まりました。以後、面会交流は全く実施されず、子どもの受験などを理由に、妻が話し合いに応じないため、相談にいらっしゃいました。
話し合いでの解決が難しいと思われたため、面会交流調停を申し立てました。妻にも代理人弁護士がつき、調停での話し合いを進めました。
結果として、日時を定めて面会交流を実施すること、受験期間中は間接的な面会交流にとどめること、受験後の具体的な面会方法は改めて協議することで合意し、調停が成立しました。
弁護士の所感
自分の意思をしっかり持っている年齢のお子さんの面会交流事件だったため、「会いたくない」と言われることを危惧していましが、杞憂に終わり、本当によかったと思いました。
面会交流に関するブログのご紹介
心情等を配慮し、直接の交流の実施までは認められないとしつつも、電話や手紙等の方法による交流の実施を相当とした裁判例をご紹介いたします。
面会交流のことなら名古屋総合法律事務所へ
「子供に会いたい」
「元配偶者に子供を会わせたくない」
それぞれのご事情により、ご意見があると思います。
ただ、「面会交流」は「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定されており、親の希望ではなく、あくまでも「子の利益」のために実施されるものです。
私達は、多数に渡る経験をもとに、お子様の心情を最大限に配慮しつつ、面会交流でお困りの皆様にとって最適な解決策をご提案いたします。
夫からDVを受けており、子供との面会交流はとても不安です。どうしても会わせなければいけませんか?
離婚時の状況や子の発育に対する影響、親の再婚などにより、面会交流が制限・拒絶される場合もあります。
面会交流を求める調停においては、調停委員・裁判官、多くの場合は調査官を交えて、面会交流についての協議を行い、一定の合意に達すれば、その合意内容が調停調書に記載されます。
調停調書に記載された義務内容を履行しない場合には、記載された内容によっては、強制執行することができます。
ただし、直接的に面会交流そのものを強制する仕組みは、現時点ではありません。
面会交流は、子どもの心身にいろいろな影響を及ぼすので、それが法的な権利であるとしても、非監護親がいわば自由かつ無制限に子どもと面会できるというものではありません。
裁判所には、一定の方向性・考えがあります。
調停条項と異なる面会交流はできない
面会交流に関する調停において調停条項として記載された内容は父母の双方を拘束することになりますから、調停条項に定められていない時期、方法、場所などによる面会交流は基本的に応じてもらえない場合が多いと思われます。
ただし、調停条項として定められた内容は、当事者の合意に基づくものですから、父母の合意があれば調停条項に記載されていない内容での面会交流を実施することはできます。
離婚はしていないのですが、妻が子を連れて出ていってしまいました。
子供に会いたいのですが、離婚していなくても面会交流はできますか?
別居中でも面会交流に関する決定を行うことができますが、子の福祉が害されるおそれがあれば禁止・制限されます!
面会交流は、非監護親と子の交流の断絶を防ぎ、子の健全なる発育を実現するために必要となるものです。そのため両親が離婚する前、両親が別居した場合でも生じます。面会交流に関するルールについては、離婚時と同じです。
離婚が子供に与える影響を知ることは、面会交流をするか否か、またその内容を考えるうえで非常に大切です。
離婚が子供に与える弊害を少しでも少なくしてあげるのが離婚した親の責任ですので、そのために面会交流が必要なのであれば、積極的に取り入れるべきですし、むしろ面会交流が離婚後やその先の子供の健全な発育に障害となるのであれば、消極的に考えるべきだからです。
離婚が子供に与える影響は、子供の発育段階によっても異なってきます。 また、子供や親が置かれている環境や、離婚時の状況等により、面会交流において考慮されるべきことが異なります。年齢別・状況別の面会交流についてまとめたページをご覧ください。
⺠法は、協議離婚における子の監護に関する協議事項について、以下のように規定しています。
「子の監護をすべき者、父または母と子との面会およびその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の監護」(民法766条)
について定めなければならず、その際には
「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(民法771条)
この現行の⺠法766条は平成23年に改正されたものであり、その際、従前は面会交流についての直接の言及はなく解釈として面会交流に関する事項は「監護について必要な事項」に含まれると理解されていました。これが平成23年の改正により、面会交流という言葉を用いて明確化しました。
さらに、面会交流に関する事項を決める際には子の利益を最優先する、という従前の実務でも当然のルールとして理解されていたものを法律において明文化し、明確にしました。
日本国内において、現在面会交流について⺠間や公的なサポートが普及しつつあります。また、海外においては、面会交流についてのより先進的な制度が導入されております。参考までに以下にてご紹介しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。
妻から過剰な離婚条件を突きつけられ揉めています。多感な時期の子供との距離も問題です。妻の条件はなんだか納得いかないし…
[家族構成] 自分(夫)、妻、子1人
[婚姻期間] 15~20年
Aさんは妻との性格の不一致から離婚を希望していました。そこで、自ら離婚協議書を作成して妻との話し合いを進めましたが、妻に代理人弁護士がつき、代理人弁護士から離婚の合意書案が送られてきました。Aさんご本人では合意書案の内容が適正かどうか判断しかねたため、ご相談にいらっしゃいました。
妻(相手側代理人)の求める条件
- Aさんが養育費を将来分も含めて一括で支払うこと
- 面会交流は相手方立ち会いの場合のみ認めること
- 解決金500万円を支払うこと
- 財産分与として高級外車及び不動産の共有分を相手方に譲渡すること
- 共済等の保険の名義人及び受取人を相手方に変更すること
これに対して、Aさんは
- 解決金に根拠がないこと
- 養育費を一括で支払うなら、中間利息を控除すること
などを主張し、その結果、 養育費の減額、解決金なし、その他財産分与という条件で離婚できました。 また、こどもの問題ありましたが、こどもがある程度大きく、多感な時期だったことから、 こどもへ手紙を送る ことから始め、それを妨げないという約束をしました。
相手方の請求が多額であったことから、裁判なども考えられましたが、双方に代理人がついていたことで、比較的早期に、裁判なども見据えた内容での可決が可能となりました。
暴力をふるう夫との離婚を決意したので相談にきました。しかし夫は自分のしてきたことを認めようともせず、子どもに会わせろと言います。
[家族構成] 自分(妻)、夫、子2人(子らは未成年)
Bさんは夫から暴力を受けており、それらから避難するかたちで子らを連れて別居していました。別居後、Aさんは、夫への恐怖心と嫌悪感から、面会交流を拒絶。 離婚については、調停での合意ができず訴訟に移行しましたが、面会交流について夫側から別途調停が申し立てられました。
本件では、何度も夫から暴力を振るわれてきた事案でしたが、夫が暴力の事実を否認し、直接的な面会交流を求めてきたため、裁判所に暴力の事実を認めてもらうことから始めました。
過去に受けた暴力による怪我の写真、診断書、暴言を吐いている際の音声データ等、多くの証拠を確保できている事案でしたので、それら一つ一つを証拠として提出し、夫に対する恐怖心が強いことを裁判所に訴えました。
その結果、裁判所としても、直接的な面会交流を行うことは困難であると判断し、手紙やメールを通じての間接的な面会交流の方法を模索することになりました。
最終的には審判に移行しましたが、裁判官と調査官の協力の元、試行的な間接交流を試したり、双方の希望を粘り強く調整し、当面の間は、手紙等を郵送する方法での面会交流をするということで合意に至りました。
裁判所が積極的に関与して双方の意見の調整をしてくれたため、審判ではなく合意という形で解決に至ることができた事案であると思っています。和解条項には、将来、調停を利用して再協議する旨の条項も入れました。
別居以来子供に会わせてもらえません。妻は子供の受験を理由に話し合いを拒否してきました。
[家族構成] 自分(夫)、妻、子1人
[婚姻期間] 15~20年 (別居期間3年)
Kさんは度重なる転勤などから体調を崩してしまいました。妻と子どもは妻の実家で暮らしています。 単身赴任となった後、再び妻子との同居を望みましたが、妻から拒否され、別居が始まりました。以後、面会交流は全く実施されず、子どもの受験などを理由に、妻が話し合いに応じないため、相談にいらっしゃいました。
話し合いでの解決が難しいと思われたため、面会交流調停を申し立てました。妻にも代理人弁護士がつき、調停での話し合いを進めました。 結果として、日時を定めて面会交流を実施すること、受験期間中は間接的な面会交流にとどめること、受験後の具体的な面会方法は改めて協議することで合意し、調停が成立しました。
自分の意思をしっかり持っている年齢のお子さんの面会交流事件だったため、「会いたくない」と言われることを危惧していましが、杞憂に終わり、本当によかったと思いました。
心情等を配慮し、直接の交流の実施までは認められないとしつつも、電話や手紙等の方法による交流の実施を相当とした裁判例をご紹介いたします。
「子供に会いたい」
「元配偶者に子供を会わせたくない」
それぞれのご事情により、ご意見があると思います。
ただ、「面会交流」は「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定されており、親の希望ではなく、あくまでも「子の利益」のために実施されるものです。
私達は、多数に渡る経験をもとに、お子様の心情を最大限に配慮しつつ、面会交流でお困りの皆様にとって最適な解決策をご提案いたします。
離婚後に後悔しないために、離婚の前に面会交流について確実に取り決めしておきましょう。