父母の婚姻中において、未成年の子の親権は父母の共同親権であり、通常、未成年の子は両親の監護の下にあります。
しかし、婚姻中の夫婦の不和のため両親が別居した場合、あるいは、離婚により父母の一方の単独親権となった場合には、子は父母の一方の監護の下に置かれ、この場合、父母の間において、子の引渡しを巡る争いが生じる可能性があります。
一方の親が監護権者として指定されているケースでは、監護権を有しない親からの子の引渡しの請求は監護権者を変更しない限り認められるのは困難といえます。
他方、監護権を有する親からの子の引渡しの請求は、これを認めることにより、子の福祉・利益を著しく害するような場合を除いて、一般に認められやすいと考えられています。
離婚前の別居中のような場合、そもそも子の監護権はどちらにあるのかという点が問題になります。
また、仮に双方の親が監護権を有しているケースでは、他方にも監護権がある以上、なかなか子の引き渡しを認められるのが難しいように思われます。
但し、一方の親による監護が他方の親による監護と比較して子の福祉・利益に反することが明白である場合や子を違法に奪取した場合などには、子の引渡しの請求が認められる可能性はあります。
子の引渡しを求める手続としては、まず、子の監護に関する処分として、家庭裁判所における調停・審判があります。
また、子の違法な身体の拘束から緊急的な救済を図る手続として人身保護法に基づく引渡し請求があります。
但し、婚姻中の子の引渡しの問題については、原則として、家庭裁判所の関与により解決されるべきであるとして、人身保護法に基づく救済は、一方の親の監護が他方の親の監護と比較して子の福祉・利益に反することが明白であるような例外的場合でなければ認められないとされています(最高裁平成5年10月19日判決)。
一方の親が監護権者の意に反して子を奪い去る行為は、たとえ、奪い去った親が親権を有する場合でも、未成年者略取罪等の犯罪となり刑罰を科せられる可能性があります(最高裁平成15年3月18日決定、最高裁平成17年12月6日決定)。
日本でも国際結婚は増加傾向にあり、これに伴い、子の奪い合いの紛争が国境を跨ぐことも増加しています。
たとえば、日本人の母親と外国人の父親の子を父親が自身の母国に連れ帰ってしまった場合、その子を連れ戻すためには、どうすればよいのでしょうか。
こうした国際的な子の奪い合いの問題を解決するルールとして、平成28年11月現在、日本を含む世界95ヶ国が締結している「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(以下「ハーグ条約」といいます)があります。
ハーグ条約の基本的な内容は、
条約の締約国は、
日本は、平成26年、ハーグ条約の締結国となり、これを受けて、ハーグ条約の実施に関する法律(以下「ハーグ条約実施法」といいます。)が成立しています。
そして、ハーグ条約実施法に基づき子を元の居住国に返還する手続は、執行官による子の解放と解放された子の返還実施者による返還という代替執行の手続により行われます(同法137条以下)。
但し、この場合には、子が引渡しの義務を負う者と共にいる場合にのみ許され(同法140条3項)、子に対する威力を用いることができない(同条5項)などの制約があり、実際には、その執行は容易でないという現実があるようです。
子の引渡しを巡る紛争は、当事者間での任意の協議が整わなければ、子の監護権者を指定する審判により解決されます。
その際の判断基準は、結局、どちらの親に監護させることが、より子の福祉・利益になるかに尽きます。
具体的には、従前の監護状況、子の意思、監護意思・能力などの諸般の事情を考慮しての判断となります。
なお、監護権者の指定の判断において母性優先の原則の適用というものがあります。
これは、要するに、子の監護は母親である方が子の利益・福祉に適うため、原則として、子の監護権者は母親が適切であるという考え方です。
親権あるいは監護権は母親というイメージが強いのは、この母性優先の原則があるためです。
現在は単に母親だからという理由のみで監護者の判断はされていないといわれていますが、特に、乳幼児の子のケースなどでは、依然として母性優先の原則が適用されるケースが多いようです。
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