夫婦でペットを飼われている方は多いと思います。
一般社団法人ペットフード協会によれば、平成24年度の全国の犬猫飼育世帯率は、犬が16.8%(前年度17.7%)、猫(外猫除く)が10.2%(前年度10.3%)ということです。
犬・猫を両方飼育している世帯があることを考えても、少なくとも5世帯に1世帯は犬または猫を飼育していると考えてよいのではないでしょうか。
犬や猫以外のペットを合わせて考えると、この割合はさらに増えるでしょう。
離婚に伴うペットの問題について、見ていきましょう。
日本の法律では、ペットは「物」としかみなされません。
例えば、ペットに怪我を負わされた場合、刑法上の罪名は器物損壊罪、民法上は物損事件として扱われます。
そのため、離婚の際にも、ペットは不動産や家財道具と同じように財産分与の対象となります。
子どものようにペットを可愛がっていたとしても、親権を定めることはありませんし、養育費を請求することもできないのです。
ただ、これはあくまでも法的には親権や養育費は問題とならないということですので、夫婦間の話し合いで、今後ペットにかかる飼育費用等の負担割合を決めることができれば、それは有効な契約といえるでしょう。
ペットは生き物ですので、預金や株式のように折半して取得することは、当然ながらできません。
車と同様、夫婦のいずれがペットを引き取るかを決めることになります。
どちらかが連れてきたペットである場合や、一方のみが引き取りを望んでいる場合には、それほど問題は生じないでしょう。
一方、夫婦のいずれもがペットの引き取りを望んでいる場合には、
ペットが財産分与の対象であることは上記で記載したとおりです。
そのため、ペットの引き取りも、基本的には通常の財産分与と同様に考えます。
夫婦が婚姻期間中に、夫婦の共有の財布からお金を支出してペットを購入した場合、そのペットは夫婦の共有財産となります。
その場合には、ペットの現在価値(市場で売却するときの値段)を評価し、引き取った方がその評価額の½を支払うか、又は、その評価額の½に相当する財産を譲るということになるでしょう。
夫婦の一方が結婚前に購入したペットの場合、そのペットは一方の特有財産となりますので、購入した方が引き取った場合には、他方に何かする必要はありません。
一方、まれなケースですが、一方の連れてきた特有財産としてのペットを他方が引き取る場合には、ペットの現在価値を、引き取った他方がペットを連れてきた方に支払うことになるでしょう。
ペットをいずれかが引き取る際にはペットの現在価値が問題になってきますが、通常の犬や猫であれば、1歳程度を超えると市場での評価額はほぼ無価値となりますので、引き取った側が評価額を支払ったり、評価額相当の財産を相手方に譲らなければならない事例は、実際にはあまりないでしょう。
離婚に伴い、夫婦の一方又は双方が転居したり、転職によりライフスタイルが大きく変わることも起こりえます。その際、ペット可の住宅に入居が可能か、ペットの世話をきちんとしていけるかを十分検討してください。
アメリカでは、離婚の際にペットに共同親権を設定し、離婚後のペットとの面会交流や、ペットにかかる費用の負担割合などを取り決めるカップルもいるそうです。
日本においても、当事者間で合意ができれば、このような取り決めも有効であると考えられます。
どのような合意をするにせよ、一度飼ったペットに対しては、最後まで責任をもって、ご夫婦もペットも幸せになるような解決策を模索してください。
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