離婚後、夫婦の一方が実家に一旦戻り生活する場合など、父と母それぞれの居住地が遠方になってしまうことがあります。場合によっては、それぞれの両親が日本と外国に住むことになるようなケースもあります。
このように離婚あるいは別居により両親の居住地が隔地間である場合における面会交流については、通常の面会交流とは別に留意すべきことがあります。
まず、面会交流の回数が問題となります。通常の場合、面会交流の回数は月1回を目安とされます。しかし、隔地間の面会交流の場合には、月1回ペースでの面会交流は、監護していない親の居住地での面会交流であれば子の負担となり、そうでない場合でも監護していない親の負担となるため、事実上困難となります。
そこで、隔地間の面会交流においては、たとえば、面会交流の回数を数か月に1回など頻度を下げたり、あるいは、子どもの夏休みなどの長期休暇を利用して、ある程度まとまった期間の交流の機会を年に数回実施するなど工夫するのがよいでしょう。
隔地間の面会交流の場合には、時間的、経済的、肉体的、精神的な負担を伴うことがあります。面会交流の場所として、監護しない親の居住地での面会交流を実施することになると長距離移動を強いられる子にとって大きな負担となってしまいます。他方、面会交流の場所を監護している親の居住地とすれば監護していない親の移動のための交通費などの問題が生じます。こういった理由から、遠隔地の面会交流の場合、どうしても面会交流が途絶えてしまったり、回数が極端に少なくなったりしがちです。
隔地間の面会交流の場所については、通常の面会交流以上に双方の譲歩の気持ちが大切となりますが、基本的には子の利益を最優先に考え、監護する親の居住地あるいは、そこに近い中間の場所を指定するのがよいでしょう。実際、裁判所は隔地間の面会交流における子の負担に配慮して面会交流の場所について監護しない親の居住地は相当ではないと判断することがあります(最高裁平成24年12月19日決定)。
隔地間の面会交流を実施する場合には、遠方の面会交流場所までの交通費が発生することになるため、その負担が問題となることがあります。このような面会交流の実施のために発生する費用の負担は基本的に当事者間の公平を図る趣旨から決めるべきとされています。もっとも、その具体的判断についてはケースバイケースであり一律の基準はありません。そして、面会交流を実施する際に発生する交通費の負担については、面会交流の頻度、面会交流を1回実施する際に必要となる交通費の金額など考慮して決定されます。
なお、過去、隔地間の面会交流に要する交通費の負担の問題について、その負担については当事者間の公平を旨とすべきであると述べつつ、面会交流は親子の自然な愛情に基づくものであり、未成熟の子の健全な発育を実現するためのものであるから、これに要する費用については、各自の負担とするのが公平であるとした裁判例があります。
隔地間の面会交流については、前述したとおり、移動による子の負担あるいは親の時間的・経済的負担を理由として、親子の直接相対する形での面会交流の回数を多くすることはできません。
しかし、あまり面会交流の回数が少ないと、特に子供が乳幼児の場合には、非監護親に対する認識が薄くなってしまうこともあります。また、子供がある程度大きくなった場合にも、遠方にいる非監護親と定期的に交流できる状況を作っておくことは、子の福祉にとって良い結果を生むこともあるでしょう。
そこで、たとえば、親と子の電話、チャット、メール、手紙を通じての交流を認めたり、監護する親が子の成長を写真や動画などにより記録して、これを監護しない親に送付するなどの方法で、親子の交流を深めるのがよいでしょう。
離婚後、両親が日本とドイツの隔地間に居住するに至ったケースにおいて、面会交流の実施を認めたものの、その回数(頻度)・方法等の具体的内容については電子通信を用いた交流等を含めて当事者の協議に委ねた審判例があります(浦和家裁平成12年10月20日審判)。
また、同様に両親が日本とフランスの隔地間に居住しておりフランス在住の非監護親がフランスでの面会交流を求めたケースにおいて、少なくとも子どもが中学に進学するまではフランスでの面会交流は認めず、それ以後は改めて協議する旨を命じた審判があります(京都家裁平成6年3月31日審判)。
事務所外観
令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
令和6年4月1日に名古屋家庭裁判所一宮支部に離婚等請求事件 について人事訴訟を提起しました。
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