婚姻予約(婚約)とは、近い将来婚姻をしようという約束のことをいいます。
法の保護に値する婚約は、当事者の間に誠心誠意「将来夫婦になることの合意」があればよく、なんらの方式も必要ではありません。
つまり、結納や、婚約指輪の交換なども不要なのです。
しかし、どのような事実ないし関係があれば、「将来夫婦になることの合意」があるといえるのか、必ずしも明確ではありません。
一般的に言えば、「将来夫婦になることの合意」があるかどうかは、周囲がどの程度これを承認しているかが重要な判断材料になります。
裁判例では、
など、結納、結婚式のような慣習上の儀式へ向けての準備行為が進んでいる段階にあれば、婚約の成立が認められています。
他方、当事者間には結婚の約束があるものの、家族など周囲の者が十分これを知らない場合でも、婚約の成立が認められることもないわけではありません。
この場合には、長期間の肉体関係の継続がひとつの視点となると言えるでしょう(最高裁昭和38年9月5日)。
【東京地判平成6年1月28日】
【事案】X女とY男とは、東京都内の私立高校3年生のとき(平成元年)から男女関係があり、平成4年4月からはマンションで同居し、Y男がレーシングチーム、X女は主婦と同様の状況にあった。Y男は、平成5年4月下旬にA女とデートしたことがX女に判明し、XとYは不仲になり別居した。
【要旨】判決は、XとYが婚約者であることを周囲の人に紹介していたこと、XがYの祖母の葬儀に出席し、婚約者として紹介されたこと、XとYが一年近く夫婦同然の生活をしていたことから、平成4年4月までに両名間に婚約が成立していたと認めた。
【最高裁昭和38年9月5日】
【事案】X女とY男は、結婚の約束をした上で、6年間肉体関係を継続し、その間2回人工妊娠中絶をしたが、2人の関係を両親等に打ち明けたり、結納の授受等世間の慣習に従う手続きを取ることはなかった。
【要旨】X女がY男の求婚に対し、真実夫婦として共同生活を営む意思でこれに応じて婚姻を約した上、長期間にわたり肉体関係を継続したものであり、当事者双方の婚姻の意思は明確であって、単なる野合私通の関係ではない。
婚約したからといって、無理やり婚姻の届出をさせることはできません。
婚約したといっても、正当な理由なく婚約を破棄された場合に相手方に損害賠償を請求することしかできないのです。
それでは、正当な理由がある婚約破棄、正当な理由のない婚約破棄はどのようなものなのでしょうか。
婚約を破棄したことに正当な理由があるとして、婚約解消者に対する婚約破棄の損害賠償が認められなかった例としては、
があります。
一方、婚約を破棄したことに正当な理由があると認められず、婚約解消者に対する婚約破棄の損害賠償が認容された例としては、
があります。
判例は、正当な理由なくして婚約を履行しないときに、契約違反として債務不履行による損害賠償責任が生じると考えています。
損害賠償の中には、婚姻準備過程でかかった費用の公平な清算(財産的損害)と、婚約解消に伴う精神的苦痛の賠償(精神的損害)の二つの要素があります。
財産的損害と精神的損害の両方をあわせて、30万円から200万円程度が多いようです。
以下では、財産的損害の中身、精神的損害の中身を説明していきます。
婚姻準備過程でかかった費用の公平な清算(財産的損害)は、婚約から婚姻に至るまでの準備にかかった費用(結婚式場や新婚旅行等の申込金、キャンセル料、新居用のマンションの敷金、手数料解約金など)は賠償の対象となります。
これに対し、婚礼家具、衣類については婚約が解消されても購入者の手元に残っていて使用できるので、客観的には損害といえないかもしれませんが、感情的には使用したくないものでしょう。判例でも判断が分かれています。
また、女性の場合、婚約が成立すると勤務先を退職することがあります。婚約が解消された場合、このような勤務先退職による逸失利益も損害として認めた判決があります。
これらの損害を認めた判例は、婚姻への準備が相当程度進んでいたり、解消した側の有責性が強い事案です。婚約解消の正当性判断と損害の範囲が関連しあうことは、精神的損害の場合と同様のように思われます。
弁護士は、依頼者からお話しをお聞きし、似たような事案の判例を検討しながら、依頼者の事例ではどのように解決されるべきかを検討していきます。
婚約解消に伴う精神的苦痛の賠償は、婚約解消者側の不法性の程度に応じて多額になります。婚約解消の正当性や不法性は解消に至るまでの当事者双方の行為が総合的に考慮されるために、損害額の認定も総合的な判断によります。
婚約は法的に有効な契約である以上、親など第三者が当事者の一方に強く働きかけたり、不当な干渉をして婚約解消を促した場合には、本人と並んでその第三者も損害賠償責任を負うことがあります。
もっとも、婚約は、当事者間に夫婦としての生活実態が伴っていない関係ですので、第三者が責任を負うのは、働きかけや干渉の程度が相当強いものだった場合に限られます。
日本では、婚約の成立に際して婚約が整ったしるしとして、結納が交わされる慣習があります。
判例は、結納の法的性質について、「婚約の成立を確証し、あわせて、婚約が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与である」としています。
婚約が後に至って解消された場合には、婚約の成立という結納の最終目的が達成されなかったのですから、結納を授与した者はそれを受領したものに対して不当利得としてこの返還を請求することができます。
もっとも、多くの判例では、婚約解消に責任がある者が結納金の返還を求めることは信義則上許されないとしています。
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令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
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