「別居している夫が破産してしまった。婚姻費用はもらえるの?離婚後の養育費は?」
「配偶者の不貞相手に慰謝料請求をしていたら、自己破産するという連絡が来た、慰謝料はもらえるの?」
このような疑問を抱える方もおられるのではないでしょうか。
ここでは、婚姻費用・養育費・不貞行為の慰謝料それぞれについてご説明いたします。
まず、自己破産とは、裁判所に破産申し立てをし、支払不能(借金を支払えない状態)と認めてもらうことで、財産を返済に充て、残りの借金を免責してもらう手続きの事を言います。
つまり、自己破産をすると非免責債権を除くすべての借金について今後支払う必要がなくなります。
(1)非免責債権とは
次に疑問になるのは非免責債権についてだと思われます。
非免責債権とは、自己破産をしても支払い義務が免責されない債権の事を言います。
そのため、非免責債権に該当すれば自己破産をした後も払い続けなければいけません。
では、破産しても免責されない債権はどのようなものがあるのでしょうか。
破産法253条1項ただし書に各号に定められています。
(2)免れられない支払いの一覧
破産法第253条第1項
免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない。
それでは、上記破産法253条第1項各号の中に婚姻費用が含まれるのかが問題となります。
結論としては、「民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務」とは婚姻費用に当たります。
そのため、婚姻費用は非免責債権になりますので、配偶者が破産したとしても支払いは継続することになります。
民法 第760条
夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する。
次に養育費についてですが、こちらも非免責債権になります。
民法766条は養育費に関する定めがあります。
民法 第766条
第1項 父母が協議上の離婚をするときは,子の監護をすべき者,父又は母と子との面会及びその他の交流,子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は,その協議で定める。この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
「子の監護に要する費用」とは、子どもが生活するために必要な費用の事を言います。そのため、食費などの生活費、教育のための費用、医療費などが含みます。
これらを支払う義務については、「民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務」にあたるため、債務者が破産したとしても、支払わなければなりません。
最後に不貞行為の慰謝料請求は非免責債権か見ていきたいと思います。
「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」にあたるかが主として問題となってきます。
平成15年7月31日の判決では
「悪意」とは積極的な害意をいうとして、不貞行為を理由とする損害賠償請求権が非免責債権にあたらないとされました。
つまり不貞行為を行った過程などの全事情を考慮して積極的に害する意思がなければ、非免責債権として該当しないということになります。
また、平成28年3月11日の判決では
「悪意」とは、故意を超えた積極的な害意をいうものと解するのが相当である。
とされています。
これらの事案でも非免責債権として認められませんでした。
一般的なの不貞行為事案では「悪意」がある場合は少ないといえます。
そのため、不貞行為の慰謝料は非免責債権とならないことが通常と言えます。
以上をまとめると、婚姻費用や養育費は非免責債権ですので、支払の義務はなくなりません。
一方で、不貞行為の慰謝料は非免責債権ではない場合が多いため、支払の義務がなくなってしまうということでした。
ただし、一番の問題は債権が残ったとしても、相手が支払うことができるかです。
自己破産をするということは、現状において資産がほとんどない状態であることが考えられます。
そのような状況ではいくら高額な債権を持っていたとしても、債務者は支払う能力がほとんどないため、支払は難しいといえるでしょう。
次に考えることとしては、現在働いているのであれば給料の差押えを行う方法や預金があるのならば銀行口座の差押えを行うなどの方法があります。
そのため、債務者の勤務先などの情報はしっかりとチェックしておいた方がいいと思われます。一度検討されてはいかがでしょうか。
事務所外観
より良いサービスのご提供のため、離婚相談の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町
蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
令和6年4月1日に名古屋家庭裁判所一宮支部に離婚等請求事件 について人事訴訟を提起しました。
Copyright © 名古屋総合リーガルグループ All right reserved.
運営管理:名古屋総合法律事務所 弁護士 浅野了一 所属:愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)
〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故,遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見,不動産・借地借家,離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題,債務整理,過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生,企業法務,契約書作成・債権回収,コンプライアンス,雇用関係・労務問題労働事件,対消費者問題,事業承継,会社整理,事業再生,法人破産■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市) 愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)) 岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,恵那市,中津川市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)