弁護士 渡邊 佳帆
熟年離婚を検討されている方からのご相談の際、よく聞かれることがあります。
それは、「配偶者はあと数年で定年です。ここまで我慢したのですから、財産分与のことを考えると、退職金が出るまで離婚は待った方がよいのでしょうか?」ということです。
財産分与とは、「婚姻期間中に、夫婦が協力して築いた財産の分与」です。原則、夫婦が協力して築いた財産は夫と妻とで半分ずつに分けます。別居を開始した時点で、夫婦の経済的な協力関係は終了したとみなされます。そのため、財産分与の基準時は別居開始日です。夫婦それぞれの別居開始日時点の財産を列挙して、それらを一度合算します。その合計額を2で割り、夫婦それぞれの財産額がその金額になるよう差額を埋めます。
| 財産項目 | 夫名義 | 妻名義 |
|---|---|---|
| 不動産 | 20,000,000 | 0 |
| 預貯金 | 10,000,000 | 3,000,000 |
| 生命保険の解約返戻金 | 6,000,000 | 5,000,000 |
| 退職金 | 7,500,000 | 0 |
| 社内預金 | 6,000,000 | 0 |
| 株 | 500,000 | 1,000,000 |
| 車 | 300,000 | 400,000 |
| ローン | -18,000,000 | 0 |
| 計 | 32,300,000 | 9,400,000 |
| 足して2で割った額 | 20,850,000 | |
| 分与額(受け取れる額) | -11,450,000 | 11,450,000 |
これが財産分与です。
財産分与については、弊所サイト「離婚Q&A
」においてもご説明しておりますので、併せてご覧ください。
退職金は夫/妻が労働した結果得られるお金です。夫/妻が労働できるのは、妻/夫の支えがあってのものと考えられるので、退職金も財産分与の対象になります(独身時代の労働の対価分は控除されます)。
退職金全額が分与の対象となるわけではなく、別居日に退職したと仮定し、その時点の退職金額を計上することになります。上記の表の、「退職金 7,500,000、5,000,000」は、別居日時点の退職金額を計上したものです。
なお、婚姻期間のほうが就職してからの期間よりも短い場合は、就職してからの期間と同居期間で按分する、あるいは婚姻時の退職金額を差し引くといった調整をします。
按分の場合の計算: 別居日時点の退職金額 ×(同居期間 ÷ 在職期間)
離婚する夫婦が若年・中年の場合は、退職金と言っても、まだまだ先の話であり、数十年後、実際に定年退職する際にもらえる金額は不明です。転職をする可能性もあります。
一方で、熟年離婚の夫婦の場合は、すでに定年退職している場合や、まもなく定年退職を迎えるため、支払われる退職金の額がわかっていることがあります。これは、熟年夫婦ならではの大きな特徴と言えるでしょう。では、熟年離婚の場合、退職金は財産分与においてどう考慮されるのでしょうか。
⑴ すでに定年退職し、退職金を受領している場合
すでに定年退職して退職金を受領している場合は、上記表における「退職金」という項目はなくなります。「退職金」は「預貯金」等他の財産に姿を変えているからです。そのうえで、別居日時点の財産を列挙して分与をします。
もし退職金の一部を費消してしまっていた場合は、費消した分はないものとして分与することになります。
⑵ まもなく定年退職を迎えるため、支払われる退職金の額がわかっているが、まだ受領していない場合
この場合は、別居日が定年退職の日より前であっても、退職金全額を財産分与の対象額として計上できるか否かが問題となります。
実務においては、別居後の勤続については配偶者の寄与がないことから、別居から定年退職までの期間がわずかであったとしても、退職時に受け取る退職金の全額を基準額とすることには消極的です。定年退職時に受け取る全額を基準額とした裁判例(東京地判平成11年9月3日)もありますが、同裁判例においては、在職期間のうち、同居期間に対応する額を算定し(退職金全額×同居期間÷在職期間)、中間利息を控除して分与額を計算しています。
熟年離婚の場合であっても、別居日時点の財産を基準として分ける、ということが原則であるのは若年・中年の離婚と変わりません。しかし、退職金が入ったとたん、配偶者が浪費してしまうことが想像できる場合は、財産分与を受ける側から見れば、退職金が預貯金等他の財産に変わってからでは遅い可能性もあります。また、同居期間が長ければ長いほど財産分与において計上する退職金の額は大きくなりますが、そのために耐えがたい同居に耐え続けるか、それで精神的にもつのか、という問題もあります。このあたりの判断には、長年の婚姻生活により、配偶者の性格を熟知なさっていることが活きるでしょう。
弁護士は、離婚を悩んでいる方に法的な視点から道筋を示すことができますが、大事なのはご自身のお考えです。わたくしどもの法律相談が、お考えの構築の一助になればと思っています。
【ご相談予約専門ダイヤル】
0120-758-352
平日・土日祝 6:00-22:00
【相談時間のご案内】
| 平日 | 9:00-18:30 |
|---|---|
| 夜間 | 17:30-21:00 |
| 土曜 | 9:30-17:00 |
※夜間相談の曜日は各事務所により異なります
詳しくはこちら▶
事務所外観




より良いサービスのご提供のため、離婚相談の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町
蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町
東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
Copyright © 名古屋総合リーガルグループ All right reserved.
運営管理:名古屋総合法律事務所 弁護士 浅野了一 所属:愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)
〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故,遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見,不動産・借地借家,離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題,債務整理,過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生,企業法務,契約書作成・債権回収,コンプライアンス,雇用関係・労務問題労働事件,対消費者問題,事業承継,会社整理,事業再生,法人破産■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市) 愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)) 岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,恵那市,中津川市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)