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不倫の慰謝料は誰に対して請求できるのでしょうか?

不倫が発覚したとき、多くの方が悩まれるのが、
「誰に慰謝料を請求できるのか」「いくら請求できるのか」という点です。

このページでは、
不倫慰謝料を請求できる相手の範囲と、金額の目安をわかりやすく解説します。

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誰に慰謝料を請求できるのか?

慰謝料を請求する相手としては、

  1. 不倫をした配偶者のみ
  2. 不倫相手のみ
  3. 不倫をした配偶者と不倫相手の両方

という3つの場合が考えられます。

1.配偶者のみ 2.不倫相手のみ 3.不倫をした配偶者と不倫相手

いずれを選ぶかは、不倫をしたことについて悪質性が強いのはどちらか、どのような証拠があるかなどによって決めていくことになります。

③を選んだ場合、不貞をした配偶者とその不倫相手は、共に不貞行為をした者として共同して責任を負いますので、双方合わせて適正な額の慰謝料を請求することになり、不貞した配偶者と不倫相手へ二重に慰謝料の請求をすることはできません。

配偶者に対する請求

不倫相手の氏名・住所や連絡先が簡単に分からないケースや、不倫相手の悪質性が低いケースなどでは、配偶者にのみ慰謝料請求することが考えられます。
ただし、事案の内容により、配偶者に対する請求が認められるケースと認められないケースの両方があります。

配偶者に慰謝料を請求できる条件

  • 結婚中に配偶者が不倫したこと
  • その行為であなたが精神的苦痛を受けたこと

離婚する・しないに関わらず、
不倫の事実がある限り、配偶者に慰謝料請求することは可能です。

配偶者に対する請求が認められたケース

裁判で配偶者に対する不倫慰謝料の請求が認められた事例は、数多くあります。

慰謝料額の相場は、夫婦が離婚に至った場合で100万円~200万円程度、離婚に至らなかった場合で数十万円~100万円程度です。ただし、不倫の内容や期間、不倫開始時の夫婦関係の状況、婚姻期間、その他にも様々な事情によって慰謝料額は増えたり減ったります。

相場よりも高額な慰謝料が認められた裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 平成16年9月14日
事件番号 平成13年(ワ)第5034号
婚姻期間 昭和36年11月~平成10年(離婚成立時) 約35年
不倫期間 昭和43年~平成10年※離婚成立後も継続 約30年
概要 婚姻期間中に夫が不倫し不貞相手との間に子を儲け、別居・離婚に至った事案。夫婦関係は当初円満であったが、不貞行為によって破綻した。不貞期間は極めて長期間に及び、夫は離婚後に不貞相手と再婚。妻は夫に3000万の慰謝料請求(他の損害とあわせると1億円請求)。
判決内容 婚姻関係破綻の原因は被告(不倫相手)にあると認定。 認められた金額:慰謝料1000万円、弁護士費用100万円
判決のポイント ・別訴で不貞相手に不貞慰謝料200万円を認める判決が出ている→それに加えて夫にも1000万円という極めて高額の離婚慰謝料を認めた ・婚姻期間が長期かつ不貞期間も長期であることに加えて、その態様も極めて悪質
(不貞相手との子の誕生を境に久しく婚姻費用を支払わず、健康保険証も交付しないなど妻子の生活に多大な不自由を与えた、障害ある長男の世話は妻が一身に引受けるなど妻の肉体的・精神的負担は大きいと認定。その一方で、夫は婚姻中から不貞相手およびその子と長期間にわたり生活しており、不貞行為の態様は極めて悪質と判断されたものと思われる。)
低額な慰謝料にとどまった裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 平成31年2月26日判決
事件番号 平成29(ワ)44039号
婚姻期間 平成18年~平成29年(裁判離婚)
交流期間 平成27年1月~4月
概要 婚姻期間中に妻が他の男性と不貞をしたとして夫が妻に慰謝料500万円を請求した事件。
判決内容 夫は肉体関係を立証できなかったが、少なくとも妻と相手の親密な交流が婚姻共同生活の平和を侵害する蓋然性を認定し、婚姻関係破綻との因果関係肯定。
認められた金額:慰謝料80万円
判決のポイント ・妻と相手が親しくなった平成27年当時に婚姻関係は破綻していなかったと認定
・肉体関係を伴う不貞行為自体は認定できないものの、密会を重ね、日帰旅行するなど相当程度親密な交流をしており、婚姻共同生活の平和を侵害する蓋然性がある
・婚姻期間が長期な一方、交流期間は4か月と短いが、妻は他の男性との結婚に向け、夫との離婚に向けて具体的に動いており、影響大と判断

配偶者に対する請求が認められなかったケース

不倫開始時において夫婦関係がすでに破綻していた場合には、配偶者に対する慰謝料請求は認められません(東京地裁昭和63年10月12日判決など)。

その理由は、すでに夫婦関係が破綻している場合には、配偶者の不倫によって平和な婚姻生活を侵害したことにはならず、不法行為が成立しないためです。

もっとも、夫婦関係が完全に破綻していることの証明は一般的に簡単なものではありません。裁判で配偶者に対する慰謝料請求が認められなかった事例としては、証拠が不十分で不倫の事実を立証できなかったケースが多いのが実情です。

配偶者に対する慰謝料請求が認められなかった裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 令和3年11月29日
事件番号 令和2(ワ)26249号
婚姻期間 平成29年~令和2年
不貞期間 同居中の風俗店利用
概要 婚姻期間中に夫が風俗店を継続的に利用ており、夫の不貞等によって婚姻関係が破綻したと主張して、妻が夫に慰謝料300万円の支払いを求めた事案。
判決内容 不貞行為を認定せず、婚姻関係破綻の因果関係も否定。
認められた金額:0円
判決のポイント ・妻による不貞の立証ができず(夫が自認したとおり少なくとも1回は風俗店を利用した事実はあるが、そのサービス内容が不明)
→不貞に該当しないうえ、婚姻を継続しがたい重大な事由に当たるとも直ちに言えない。

不倫相手に対する請求

配偶者に支払い能力がないケースや、離婚はしないけれど不倫相手には責任をとってほしいというケースなどでは、不倫相手にのみ慰謝料請求することが考えられます。

ただし、やはり請求が認められるケースと認められないケースの両方があります。

なお、請求が認められるケースでは、不倫・浮気をした配偶者と不倫相手は、適正な額の慰謝料を連帯して支払う義務を負います。そのため、不倫相手が慰謝料全額を支払った場合には、原則として半額を配偶者に対して求償できるようになります。

不倫相手に対する請求が認められたケース

不倫相手に対する請求が認められるのは、不倫によって夫婦関係を破綻させることについて「故意または過失」があり、「因果関係」も認められる場合です。

あなたの配偶者が既婚者であることを不倫相手が知らなかった、かつ知らなかったことに落ち度がなかった、という場合は、故意も過失もないことになります。

不倫・浮気の事実はあっても、それ以前から夫婦関係が既に破綻していた場合には、因果関係が認められません。

不倫相手に「故意または過失」と「因果関係」も認められる場合には慰謝料請求が可能ですが、事案の内容により慰謝料額は増減されます。

相場よりも高額な慰謝料が認められた裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 平成22年10月7日
事件番号 平成22(ワ)8009号
婚姻期間 平成15年~平成22年(約7年)
不倫期間 平成21年8月頃~平成22年2月(約半年)
概要 夫の単身赴任中に妻が会社同僚と不貞関係を持ち妊娠。夫が不貞相手に対し慰謝料800万円を請求した事案。訴訟提起後も不貞関係が継続。
判決内容 不貞行為と婚姻関係破綻の因果関係を認定。
認められた金額:慰謝料400万円、弁護士費用40万円
判決のポイント ・不貞相手は積極的に妻に夫との離婚を促したほか、妻は不貞相手の子の妊娠に至り、さらに夫の単身不貞中に不貞相手は夫の子と外出するなど不貞の態様は悪質。その結果も重大。夫の精神的苦痛は大きいと認定
・通常相場より高めの慰謝料(400万円)
低額な慰謝料にとどまった裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 平成30年1月23日判決
事件番号 平成29(ワ)375号
婚姻期間 平成14年~平成28年(約14年)
不倫期間 平成28年1月頃~(短期間)
概要 夫が単身赴任中に職場部下と不貞行為。不貞相手は夫が離婚したことを前提に交際開始したと主張。裁判所は、婚姻関係は「破綻の危機」ではあったが「破綻済みではない」としたうえで、不貞相手に夫が既婚者と知らなかったことに過失があると判断。
判決内容 被告(不倫相手)に過失を認め、不法行為責任を認定。
認められた金額:慰謝料40万円、弁護士費用4万円
判決のポイント ・婚姻関係は破綻前 → 不貞慰謝料は成立
・ただし破綻の危機にあったため慰謝料は低額
・不倫相手が夫に婚姻関係をしっかり確認しなかったとして、「既婚の認識不足(過失)」が認められた

不倫相手に対する請求が認められなかったケース

不倫開始時に夫婦関係が完全に破綻しており、不倫相手に対する慰謝料請求が認められなかった事例として、最高裁平成8年3月26日判決があります。

ただ、裁判例の傾向としては、不倫関係の事実があった以上は、少額でも不倫相手に対する請求を認めるケースが多いです。「故意または過失」や「因果関係」の証明は簡単でないことが多いからです。

不倫相手に対する請求が認められなかった事例の多くは、やはり、証拠が不十分で不倫の事実を立証できなかったケースです。

不倫相手に対する慰謝料請求が認められなかった裁判例
裁判所 最高裁
判決年月日 平成8年3月26日判決
事件番号 平成5(オ)281号
婚姻期間 昭和42年~昭和62年(約20年)
不倫期間 昭和61年頃~昭和63年頃(約2年)
概要 婚姻関係が既に破綻していた夫婦の一方と交際した不貞相手の不法行為責任が争点。
判決内容 婚姻関係が破綻後の不貞の場合、不貞相手は原則として不法行為責任を負わないと判示。
認められた金額:請求棄却(0円)
判決のポイント ・婚姻関係破綻後不貞であり慰謝料が発生しない」という原則を確立
・不倫相手の責任成立には「婚姻共同生活の保護利益」が必要
・現代の不倫慰謝料判例すべての基礎になっている重要判例

不倫をした配偶者と不倫相手の両方に対する請求

不倫をした配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料の支払い義務を負いますので、両方に対して同時に慰謝料を請求することが可能です。

配偶者の不倫が原因で離婚する場合(関係修復を考えていない場合)は、できる限り両方に対する慰謝料請求を検討するとよいでしょう。

両方に対する請求が認められたケース

不倫をした配偶者と不倫相手の両方に対する慰謝料が認められた裁判例は、数多くありますが、認定された慰謝料額は事案の内容により様々です。

不倫相手に対する慰謝料請求が認められなかった裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 平成21年4月8日判決
事件番号 平成18(ワ)25901号
婚姻期間 昭和55年10月~平成17年(約25年)
不倫期間 平成4年頃~平成18年(約14年)
概要 夫が婚姻中に不倫相手と関係を持ち、子をもうけた上で妻の署名を偽造して離婚届を提出、不倫相手と婚姻届を出した。妻は夫に2000万の慰謝料を、不貞相手には1000万の慰謝料を連帯して支払うよう請求。
判決内容 夫および不倫相手双方に共同不法行為を認定。不真正連帯債務として慰謝料を命じた。
認められた金額:800万円(夫と不貞相手の連帯債務)
判決のポイント ・婚姻期間も長期であり、不倫期間が極めて長期(14年)
・長期間妻子を遺棄したうえ、離婚届を偽造し不正に再婚するという極めて悪質な行為
・その他にも、妻子に婚姻費用を払わず、義母に対する多額の借金も返済しない一方で、不貞相手と生活する住宅のロ ンは完済するなど、不貞の態様が悪質

両方に対する請求が認められなかったケース

両方に対して慰謝料請求をしたケースでも、既に婚姻関係が破綻していたり、不倫関係を立証する証拠が不十分であったりして、請求が認められなかった事例も存在ます。

不倫相手に対する慰謝料請求が認められなかった裁判例
裁判所 東京地裁
判決年月日 令和3年9月6日判決
事件番号 令和2(ワ)5476号
婚姻期間 平成9年10月14日~(約24年)※ただし実質的には平成24年頃から別居状態
不倫期間 遅くとも平成22年8月頃~同24年2月頃からは同居し継続
(その後も不倫相手と同居を継続)
概要 妻が、夫と不倫相手に対して不貞慰謝料200万円を請求した事案。夫は平成22年以降、妻と別居しながら不倫相手と交際・同居を継続。妻は婚姻関係が破綻していないと主張したが、裁判所はすでに破綻していたと判断。
判決内容 認められた金額:0円(慰謝料不認容)
判決のポイント ・婚姻関係は少なくとも平成29年2月には破綻していたと認定
→ 破綻後の不貞行為には不法行為責任が成立しない
・平成29年2月以前の不貞行為については 時効が完成
→ 結果として、慰謝料請求は法的要件を満たさず全額棄却

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不倫の慰謝料請求は、
「誰に対して、どれだけ請求できるのか」
という判断ひとつで、その後の手続きや結果が大きく変わってきます。

さらに、

  • 夫婦関係が破綻していたと評価されるか
  • 不倫相手が既婚を認識していたか
  • 不倫期間・内容・証拠の有無

など、慰謝料の可否・金額に影響を与える要素は非常に多く、
ご自身で判断することが難しい場合も少なくありません。

当事務所では、
「請求できるかどうか」だけでなく、
「より適切な請求方法は何か」
「証拠が十分か」
「請求相手をどう選ぶべきか」
といった実務的なポイントまで丁寧にサポートいたします。

不倫問題に直面されている方は、
不安や怒りだけではなく、
「この先どう動けばよいのか」という迷いを抱えているケースがほとんどです。

そのようなときこそ、専門家の力を借りることで、
最も負担の少ない方法で解決へ踏み出すことができます。

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