配偶者が、強度で回復しがたい精神病にかかってしまったことも離婚原因となります(民法770条1項4号)。道徳的には、夫婦の一方が病気になれば、健康な配偶者は病者を支えなければならないとも思われます。しかし、夫婦には協力扶助義務※があり、ともに生計を維持していく共同体であるところ、精神病が強度なもので回復の見込みがないような場合には、健康な配偶者に限界を超えてまで介護などを強制すべきではないことから、離婚をするか否かを他方の配偶者の意思に任せたというのが、この条文の趣旨です。
※夫婦の協力扶助義務
夫婦は互いに協力し、扶助しあわなくてはなりません(民法752条)。協力義務とは、婚姻共同生活を営む上での義務であり、日常生活の維持のほかに、病者の看護を含みます。扶助義務とは、相互的な経済援助を意味します。
強度の精神病と認められるためには、夫婦共同生活を営んでいく上での役割が十分に果たせないようなものである必要があります。躁鬱病や、偏執病などが考えられます。裁判例では、てんかん性全身硬直発作を頻発し、恒常的に意識異常の状態となる場合に強度の精神病と認めたものがあります(東京高判昭和58年1月18日)。
一方で、裁判例の中には、アルツハイマー病を強度の精神病であるとは認めなかったものがあります。アルツハイマー病はいわゆる老人性痴呆であり、高齢化社会といわれる現代社会においては特異な病気ではないことなどが考慮されたものと考えられます。長野地判平成2年9月17日の裁判例は、アルツハイマー病の妻に対する離婚請求を4号に基づく離婚としては認めませんでしたが、妻がパーキンソン病にもり患しており、夫の父の法事で帰省した際に車で寝たきりであったことや、日常の動作・日常会話が困難であったとの事情を総合的に考慮して、長年にわたり夫婦の共同義務をまったく果たせず婚姻関係が破綻しているとして、5号による離婚請求を認めました。
精神科医の診断によることになります。裁判所は、精神病による離婚を認容することに対して消極的な傾向にあり、東京高判昭和57年8月31日、名古屋地判昭和54年9月26日などは、回復の見込みがないものと認めませんでした。
東京高判昭和57年8月31日の裁判例は、妻に統合失調症での精神病院での入院歴があり、たび重なる暴言・暴力等があったことは認めましたが、現在では軽快し、かすかに人格の崩壊が見られるが、意思能力を欠くほどではないとして、4号による離婚請求を認めませんでした。もっともこの事案でも5号による離婚請求が認められていることには注意が必要です。
精神病になった配偶者には責任がありませんし、夫婦には協力扶助義務があるのですから、裁判所は強度の精神病で回復の見込みがないことをもってただちに離婚請求を認めるという立場ではありません。最高裁判所は離婚される精神病を患った配偶者に配慮して、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの「具体的方途」が講じられた場合にのみ離婚を認めるとする解決を示しています。
最判昭和33年7月25日 民集12巻12号1823頁
「(民法770条1項4号を原因とする離婚は、)単に夫婦の一方が不治の精神病にかかったという一事をもって、直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解するべきである」
4号に基づく離婚が認められた事案としては、最判昭和45年11月24日(民集24巻12号1943頁)があります。
この事案は、婚姻当初か異常な行動をし、人嫌いで近所づきあいもせず、夫の店の仕事にも無関心で協力もせず、従業員とも打ちとけなかった妻が、その後入院したというものです。この事案では、妻の実家は夫が支出をしなければ療養費に事欠くような資産状態ではないこと、夫は生活に余裕はないにもかかわらず、妻の過去の療養費について分割して支払う旨の示談をし、支払いをし、将来も支払う意思のあること、夫が夫婦間の子の養育をしていることの事情を考慮して、民法770条1項4号に基づく離婚の請求を認容しました。
精神病にかかっており、意思能力がないといえる配偶者に対して離婚訴訟を提起するためには、精神病にかかった配偶者に対してまず、成年後見開始の手続きをとらなくてはなりません。そして選任された成年後見人を被告として離婚の請求をすることになります(人事訴訟法14条1項)。すでに自分が相手の成年後見人となっている場合は、自分を被告として離婚の請求をすることはできないので、別に成年後見監督人を選任する必要があります(同法14条2項)。
裁判で強度の精神病で回復の見込みがないことは、離婚を求める側が主張立証しなければなりません。医師に精神病の診断をもらうことが立証の基本となるでしょう。
それ以外にもこれまでの日常の言動や、人とのかかわり方なども精神病が強度なものであったかの認定において重要となりますので、写真や録音などの証拠を準備して、できるだけ客観的に証明できる形で主張することが大切です。
質問者:男性
Q. 私には5年間お付き合いをしている女性がいます。
私からプロポーズをし、先日私の両親と相手の両親へ挨拶に行き、結婚の意志を伝えました。
私の両親も相手の両親も快く了承してくれました。
しかし、最近私が10年前に自己破産した過去があることを相手の女性が知り、先日女性から別れてほしいといわれました。
私の自己破産は過去のことであり、私としてはそれを理由に婚約破棄されるのは納得いきません。
私は相手の女性に慰謝料請求をすることはできるでしょうか?
具体的な事情にもよりますが、慰謝料請求ができる可能性もあります。
婚約とは、将来において適法な婚姻をすることを目的とする契約(結婚の予約)のことをいいます。本件ではプロポーズをして、双方の両親に結婚の意志を伝え、了承を得ているのですから、婚約が成立していると判断される可能性が高いといえます。このように婚約が成立しているにもかかわらず、正当な理由なく婚約を破棄された場合には、相手に強制的に結婚をさせることはできないものの、相手に対して慰謝料を請求することができることがあります。
神戸地判平成14年10月22日裁判所ウェブサイト
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=7116
(一) 婚約は、当事者双方の将来夫婦になろうという合意で成立するものであり、必ずしも結納の授受その他一定の形式は必要でないが、将来における婚姻という身分関係形成を目的とした合意として当事者の自由意思が強く尊重されるべき分野の事柄であることに照らすと、結納その他慣行上婚約の成立と認められるような外形的事実のない場合には、その認定は慎重になされなければならないというべきである。
東京地裁平成15年7月17日 現代における婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する(憲法24条)ものであるから、いわゆる「婚約」は、本来的に一方当事者のみの意思表示により解消され得る性質を有する。したがって、被告が原告と婚姻しなかったという結果自体から直ちに婚約不履行という債務不履行責任が生じるものではない。しかしながら、他方、婚約は、将来法律上の夫婦になることを前提としてその実現に向かって当事者双方が準備行為を行っていくことを合意するものであり、婚約成立後は結婚という目的に向けて様々な事実行為、法律行為が積み重ねられていくことが予定されているから、客観的にみて婚姻を解消することに正当な理由があると認められないような一方的な婚姻解消を行う者は、婚約成立以後に、結婚という目的のために積み重ねた行為によって相手方に生じた損害について、相当な範囲でこれを賠償すべき義務を負うと解するのが相当である。
どのような理由であれば正当な婚約破棄の理由といえるかはその事例によって個別具体的に判断されることになりますが、相手方の不貞行為があったり、異常な性癖があることが発覚したり、暴行があったり、その他婚姻生活を維持しえない事情が認められれば婚約破棄も正当であると認められやすいでしょう。しかし、親が反対した、占いで結婚はまだ早いと言われた、信仰の不一致などは正当な理由とは判断されないことも考えられます。
本件の自己破産はどうでしょうか。まず、経済面については失業などで収入がなくなってしまい、婚姻生活を維持することができなくなった場合などは正当な理由にあたると考えられます。しかし、10年前の自己破産は、そのような場合とまではいえません。
もっとも、自己破産について、聞かれていたけど不誠実な対応をして隠していた場合、あるいは、これに加えて現在も金銭面で不安を抱えている場合などは円滑円満な婚姻生活がおびやかされるおそれがあるといえ、それによって正当な理由と認められる可能性もあります。
交際が開始するよりずいぶん前の自己破産ですので、これを理由に婚約を破棄することは不当であるとして慰謝料を請求することが考えらえます。当事者同士での話し合いをするとこじれることも多いので、ひとまず弁護士へ相談されることをおすすめします。
質問者:男性
Q. 結婚していることを隠して、妻以外の女性とお付き合いをしていました。
その女性に、結婚していることがばれてしまい、女性から慰謝料を請求されています。
私とその女性は特に結婚の約束などはしていません。
私はその女性に慰謝料を払わなければならないのでしょうか?
貞操権の侵害を理由に慰謝料の支払いをしなければならない可能性もあります。ただし現在わかっている事情だけでは判然としません。
交際相手の女性はあなたが独身であると信じたからこそ、交際し、性的関係をもったものと考えられます。性的な自己決定権のことを貞操権と言いますが、あなたが女性に結婚していることを隠して、女性と交際をしたことは貞操権の侵害となる可能性があります。貞操権が侵害されたか否かは、年齢、立場、交際に至る経緯、詐言の有無・内容、妊娠の有無などを総合考慮して判断することになります。
例えば、相手が若く、また立場上断りにくい場合は貞操権の侵害があったと認められやすくなります。また、ただ結婚していることを黙っていた場合と比べて、積極的に独身であることをアピールし結婚を約束をしながら交際を続けていた場合も貞操権の侵害が認められやすくなります。また相手を妊娠させていたり、堕胎させていた場合も貞操権侵害が認められやすくなります。交際における個別の事情を考慮して、あなたが既婚者であることを隠してした交際が、女性の性的な自己決定権を侵害するといえるような態様のものであったのかがポイントとなるでしょう。
最判昭和44年9月26日 民集 第23巻9号1727頁
「女性が、その情交関係を結んだ動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合において、男性側の情交関係を結んだ動機その詐言の内容程度およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を勘酌し、右情交関係を誘起した責任が主として男性にあり、女性の側におけるその動機に内在する不法の程度に比し、男性の側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、女性の男性に対する貞操等の侵害を理由とする慰藉料請求は許容されるべきであり、このように解しても民法七〇八条に示された法の精神に反するものではないというべきである。」
貞操権侵害による慰謝料請求が認められるかは個別の事案の事情に関わってきます。現在分かっている事情だけでは何とも判断しかねます。いずれにしても、専門家である弁護士に詳細を相談することでどのように対応すればよいのかなどが明らかになるでしょう。示談をした場合には示談書が必要になります。新たなトラブルを防ぐために示談書は弁護士に作成してもらうことをおすすめします。
質問者:女性
Q. 結婚30年になります。
10年前、私の親がなくなった際、遺産を1000万円ほど相続しました。
そのことは夫も知っています。
今回、夫と協議離婚をしたいと思うのですが、遺産相続したお金は財産分与をしなければいけないのでしょうか?
相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。
夫婦の財産関係は、特に夫婦財産契約を締結していない限り、法定財産制に従います(民法755条)。夫婦財産契約は、婚姻届を出す前に財産関係について契約を締結し、これを法務局に登記することを必要としますし、婚姻後の変更は原則として認められません。このような複雑さから現状ではほとんど利用されておらず、通常は法定財産制により財産関係が決まります。
法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。
離婚に伴う財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配するという清算的要素をその中核とするからです。
最判 昭和46年7月23日民集 第25巻5号805頁
「離婚における財産分与の制度は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持をはかることを目的とするものであつて…」
親の遺産は通常は夫婦の協力とは無関係に取得した財産であるため、特有財産にあたります。
⇒「原則、財産分与の対象にならない財産」について詳しくはこちら
もっとも、特有財産とされるものでも、夫婦のもう一方の協力がなければこれを維持できなかった場合は財産分与の対象となりえます。また、離婚後に相手が生活に困窮する場合には財産分与に扶養的要素が含まれることになり、特有財産からも相手に与える必要が生じる可能性もあります。
まずは、現在の夫婦の財産をリストアップして、どのような財産が財産分与の対象となるかを把握しましょう。借金がある場合はこれについてもリストアップすることを忘れないでください。その上で財産分与についての話し合いがまとまらなければ、調停手続で解決することになるでしょう。それでも話がまとまらなければ離婚裁判の中で争うことになります。いずれの過程でも、夫の要求が飲めないときや、こちらの言い分が伝わらないときなどは専門家に相談することをおすすめします。
当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています
当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています
当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています
当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています
⇒ 離婚時のローンに関しての相談
⇒ 思う
⇒ 住宅と車のローンの事があって離婚にちゅうちょしている部分があったが、お話しを聞いていただき、財産問題が少し軽くなった。何を始めたらいいのかが明確になりました。住宅ローンと車のローンをキレイにして新しい人生を歩んでいきたいと思えました。まずは売却見積もりを立ててもらいます。後は労力におしつぶされないようにがんばります。またご相談する時は宜しくお願い致します。
前回第6話の終わりの場面、大須の相談室で、美晴が娘の佳苗に10年前の離婚の大きな理由となった火事の時に自分が発した言葉
美晴「そして、腹立ちまぎれに、私は決して言ってはいけないことを口走った」
「『佳苗は、肝心な時にいつも、私の足を引っ張る、本当に嫌な娘だ』って」
「そして、私は、あなたを置いて出かけてしまった」
「それでも私は、『火事さえ起きなければ(佳苗の火傷に目をやって)こんなことにはならなかった。私は運が悪かったんだ』。
そう思っていた。……本当に、あの頃の私は母でもなく、人間でもなかった」
「この傷をつけたのは火事ではなく、私なのよ。ごめんなさい。……ごめんなさい」
その時、ドアが開いて、稲垣賢哉(利重剛)が入ってくる。
賢哉「熱のあるお前を置いて、仕事に行くような母親なんだ。娘を虐待したと言われても仕方のないことをした女なんだ」
佳苗「もう止めて!そんなにいがみ合うなら、私なんか生まれてこなきゃよかったじゃない!」
そして、今回、美晴の離婚相談室を訪れる相談者は、上品な老婦人・古賀房江(山田昌)です。
結婚して55年になる夫の基昭(天野鎮雄)と別れたいといいます。
房江「あの、今、何時でしょうか?」
(略)
房江「私は主人がおりゃいいんです」
美晴「それじゃ、どうして離婚を?」
房江「あのう。今、何時でしょうか?」
「……私、帰りますわ」
房江を追うと、病院の神経内科・物忘れ外来の窓口でした。
水野法律事務所
美晴「クライアントが認知症を患っているということになれば、夫と離婚したい気持ちが、どこまで本気なのか」
千賀子「例え、認知症の人でも、その尊厳は守ってあげたい。だから、悩んでいるのでしょ、竹内先生は」
美晴「夫婦仲は良さそうなのに、妻は何故、離婚したいと思い詰めているのか?……難問なんです」
水野「その難問を解き明かすまで、クライアントに付き合わないと、君の気が済まないんだろ」
「だったら、やることは一つじゃないか」
美晴「そうでした!」
美晴は、房江の自宅を訪問することにします。
房江「私はこれから、どこに行くんでしょう!」
「もう、親より大切な人なんです! 忘れてしまうなんて!(と泣く)」
「主人に迷惑かけたくないんです! 離婚したいんです」
「(介護老人ホームのパンフレット)ここへ入ります。あの人が可哀想で」
近くの寺で
夫の基昭「房江は、私の顔を忘れるまでに、離婚しようと思い込んどるんでしょ 」
「……それで房江の気が済むなら、離婚届けを作ってください」
「もうあと何年一緒に居られるか分からん夫婦にとって、紙の上の届け出みたいなもん、大した意味なんかない」
「アルツハイマーは、患者の最も信頼する人と一緒に過ごせると、生き生きといられて、進行も遅いらしいんです」
「房江にとって、それは私しかおりません。私は出来る限りのことをしようと覚悟しとります。例え、この先、私のことを忘れてしまう時が来ても……」
その後、美晴は、基昭から、房江が行方不明になったと知らされます。
美晴は、離婚相談に来た時の房江の言葉から名古屋城にいるのではと思い、基昭と共に名古屋城に向います。
しかし、そこにいた房江は、夫の基昭が声をかけても、首を横に振ると、また行こうとします。
房江「(泣きそうに)主人がどこにおるのか分からないんです」
認知症の影響で、夫と理解できてない事を察した美晴は、房江に、夫が家で待っていると言って自宅に帰ることを促します。
先回りして家にいた基昭を見た房江は、夫に
房江「ああ、あなた! 何だか、大切な約束があったような気がして、ずっと待ってたの!怖かった!もうあなたに会えないかと思って」
美晴は基昭に、
美晴「今回は、御夫婦の深い愛情を確認しましたので、お二人の離婚手続きをすすめることはできません」
「……でも、奥様、ほとぼりが冷めたら、また離婚したいと言ってこられるかもしれませんね」
「何度でもお引き受けますから。その度に、愛がある夫婦の離婚届は出せないんだと、分かって貰いますから」
基昭「……いつか、房江は、私を忘れる。その時は、私を知らない房江ともう一度、結婚するつもりで生きて行きます」
佳苗「……夫婦って長い間一緒にいると、あんなに深い結びつきができるんだね」
美晴「夫婦だから出来たんじゃなくて、喜びも悲しみも苦しみも、一緒に乗り越えて来たから出来たんじゃないかなあ」
「自分の幸せと同じだけ、相手の幸せを考えられるようになる」
最後は、水野所長が美晴にプロポーズしようとしますが、美晴に離婚相談の電話がかかって、このドラマは幕を閉じます。
認知症と離婚問題の場面としては、主に次の3つのケースがあります。
(1) 認知症患者数は増大するばかりです。200万人とも言われております。 そのうえ軽度認知障害を含めれば、900万人近く、これは、65歳以上の4人に1人が当たります。
老老介護と言われているように、社会では高齢者が高齢者を介護する形態が一般です。
年老いた配偶者を介護する老人、年老いた父母を介護する高齢の子夫婦。
介護の経済的、体力的、精神的負担はとても大きく、この負担が苦痛になる人が多く見えます。
一方、この介護に非常に精力的に取り組む方も見えます。
私が担当した案件では、高齢の夫が自宅近くの介護施設に入所している認知症の妻を毎日訪問して妻の体を拭くことをされていた方も見えました。
一方、将来義父母の介護をすることを求めれられ、それを拒否して、離婚された方も見えます。
どこまで、経済的、体力的、精神的負担に耐えられるかは、それぞれの夫婦の歴史と重なり合わせて、ケースにより大きく異なります。
千賀子 「(あきれ顔)正常な判断が出来るかどうかも分からないクライアントの離婚のことで、そんなに悩まなくたって」
「とまあ、ちょっと前までの私なら、そう答えていたかな」
「例え、認知症の人でも、その尊厳は守ってあげたい。だから、悩んでいるのでしょ、竹内先生は」
と展開していくのです。
ドラマでは、理想の老夫婦のように展開され、美晴は愛のある老夫婦を支えていくことになります。
(1)しかし、現実は、認知症と軽度認知症患者の増加は、大きな社会問題となっています。
前述のように、老老介護に、経済的、体力的、精神的負担に耐えられるかは、それぞれの夫婦の歴史と重なり合わせて、ケースにより事情が大きく異なります。また、認知症患者の介護は社会の責任ともいえるのです。
一方、介護の問題には、相続を視野に入れた関係者の複雑な利害が錯綜していることもあります。
(2)これらの中で、高齢者の皆様の現在~将来~死後の不安を解消し、尊厳ある生涯を送られるよう、弁護士は、どのようにサポートしていくか。
これから、弁護士にとり、認知症、軽度認知症の患者の皆様をはじめとする高齢者の皆様とのかかわり方は、より複雑な、難しいものとなるのではと考えております。
(1) 認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
つまり、後天的原因により生じる知能の障害である点で、知的障害(精神遅滞)とは異なるのです。
今日、認知症の診断に最も用いられる診断基準のひとつが、アメリカ精神医学会によるDSM-IVです。各種の認知症性疾患ごとにその定義は異なりますが、共通する診断基準には以下の4項目があります。
(2)患者数
認知症の最大の危険因子は加齢です。65~69歳での有病率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。
現時点で、我が国の65歳以上の高齢者における有病率は8~10%程度と推定されています。
専門家の間では、すでに65歳以上人口の10%(242万人程度)に達しているという意見もあります。
今後、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加し、2020年には325万人まで増加するとされます。
(1)軽度認知障害
ところで今日、軽度認知障害という用語がアルツハイマー病など認知症の前駆状態を意味する状態という意味で使われるようになっています。(引用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/)
その代表がMild Cognitive Impairment(MCI)です。
この状態での診断が注目される背景には、新たな治療法開発にともなって認知症の早期診断が重要になったことがあります。
前述のように従来の標準的な認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階は、けっして早期とはいえないのです。
そこで、認知症最初期の特徴を明らかにすることが必要になり、MCIが注目されるようになったのです。
(2)MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)
正常でもない、認知症でもない、軽度認知障害で早期発見・早期治療を
認知症ほどではないけれど、正常な「もの忘れ」よりも記憶などの能力が低下している「軽度認知障害」が最近注目されています。(引用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/)
軽度認知障害のすべてが認知症になるわけではありませんが、この段階から治療を開始することで、認知症の進行を遅らせるなどの効果が期待されています。
認知症ではなさそうだと思っても、もの忘れの程度がほかの同年齢の人に比べてやや強いと感じたら、念のために専門医を受診することが早期発見・早期治療につながることになります。
(3)厚生労働省ホームページには、このように書かれています。
ここで、大きな問題は、医師の水準と診療報酬での投薬に偏った治療方法です。
水準の低い医師ー医学部学生が知っているような化学反応も知らないため、危険であることを知らないで危険な投薬をする医師、診療報酬を水増しするため、不要な多くの薬を処方して、これらが反応してかえって軽度認知症を認知症に進行させてしまうなど。
この国の医療制度の負の問題が横たわっているのです。
当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています
【ご相談予約専門ダイヤル】
0120-758-352
平日・土日祝 6:00-22:00
【相談時間のご案内】
平日 | 9:00-18:30 |
---|---|
夜間 | 17:30-21:00 |
土曜 | 9:30-17:00 |
※夜間相談の曜日は各事務所により異なります
詳しくはこちら▶
事務所外観
より良いサービスのご提供のため、離婚相談の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町
蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町
東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
Copyright © 名古屋総合リーガルグループ All right reserved.
運営管理:名古屋総合法律事務所 弁護士 浅野了一 所属:愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)
〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故,遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見,不動産・借地借家,離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題,債務整理,過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生,企業法務,契約書作成・債権回収,コンプライアンス,雇用関係・労務問題労働事件,対消費者問題,事業承継,会社整理,事業再生,法人破産■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市) 愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)) 岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,恵那市,中津川市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)