最近では年齢を重ねた人同士の結婚も珍しくありません。
ただ、年齢を重ねているということは、それだけ一方又は双方に子どもがいる可能性も高くなります。
既に子どもがいる人と再婚する場合、連れ子と養子縁組をするかどうかによって相続に大きな影響が生じます。
以下では、具体例に基づいて、連れ子のある人と再婚した事案を見ていきましょう。
事例
離婚した60代の男性(子どもなし)が、
離婚して2人の連れ子がいる50代の女性と再婚する場合
このような事例で、男性が連れ子と養子縁組をしない場合、夫婦それぞれが亡くなった時の相続は以下のようになります。
ア) 夫が亡くなった場合
夫が妻の連れ子と養子縁組をしていない場合、
妻の連れ子は夫の相続人とはなりません。
夫の両親や兄弟姉妹がいなければ、妻のみが相続人となります。
すなわち、妻は夫の資産・負債の全てを相続することになります。
夫の両親が存命の場合には、妻と夫の両親は、それぞれ2/3と1/3ずつ(夫の両親はそれぞれ1/6ずつ)夫の財産を相続します。
また、夫の両親が既に亡くなり、夫の兄弟姉妹が存在する場合、
妻と夫の兄弟姉妹は、それぞれ3/4と1/4ずつ夫の財産を相続します。
イ) 妻が亡くなった場合
妻が亡くなった場合には、再婚相手である夫と妻の連れ子2人が相続人となり、
夫が1/2、連れ子2人はそれぞれ1/4ずつ妻の財産を相続することになります。
ア) 夫が亡くなった場合
夫が妻の連れ子と養子縁組をした場合、夫の相続は上記(1)と大きく変わってきます。
養子縁組をしない限り、妻の連れ子は夫の相続人にはなりませんが、
養子縁組をすると連れ子2人が夫の相続人となりますので、妻が1/2、連れ子2人はそれぞれ1/4ずつ夫の財産を相続することになります。
イ) 妻が亡くなった場合
この場合は、上記(1)イと同様です。
夫が2分の1、連れ子2人はそれぞれ4分の1ずつ相続します。
以上のとおり、再婚相手の連れ子と養子縁組をするか否かによって、
相続の結論は大きく変わってきます。
自分の望む相続を実現するためには、養子縁組については慎重に検討する必要があるということです。
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調停委員
中川
前回課題となっていた慰謝料と養育費について、花子さんのお考えはどうなりましたか。
申立人
山田花子
今まで夫と私と娘で住んでいたマンションに、離婚後は私と娘で住みたいと思っています。
それでマンションの名義を私にして、夫にはローンの残りを支払ってもらいたいです。これを聞いてもらえるなら慰謝料は夫にも不貞相手にも要求しません。
養育費はこれから教育費が増えることも考えると9万円はほしいです。
調停委員
中村
花子さんのご意見はわかりました。
太郎さんにお伝えして、ご意見を伺いますので、一度待合室でお待ちください。
――――――――――交代――――――――――
調停委員
中村
花子さんは、今まで太郎さんと住んでいたマンションに、愛さんと二人で住みたいそうです。
そのためマンションの名義を花子さんにして、太郎さんに引き続きローンを支払ってほしいとのことです。
これを受け入れてもらえれば、慰謝料を太郎さんにも相手の女性にも要求しないとのことでしたが、いかがですか。
相手方
山田太郎
花子や愛の将来のことを考えても、私もその方がいいと思っていました。
それで結構です。
調停委員
中川
養育費については月額9万円はほしいとおっしゃっていますが、いかがですか。
相手方
山田太郎
離婚後は家族手当がなくなる上、自分は家を借りなければならないので家賃もかかるため、養育費は月額8万円以上払えません。
証拠として、現在の給与明細を提出します。
(調停委員へ給与明細を手渡す)
調停委員
中村
分かりました。
太郎さんからのご意見を花子さんにお伝えしますので、もう一度待合室でお待ちください。
――――――――――交代――――――――――
調停委員
中川
太郎さんは、家の件は花子さんの意見でいいとのことでした。
ただ養育費は月額8万円が限界とのことで、証拠として給与明細を提出されました。
(調停委員が花子さんへ給与明細を見せる)
離婚後、今までもらっていた家族手当がなくなるそうです。
裁判所の算定表に従っても、月額8万円が相場と思われますが、いかがでしょうか。
申立人
山田花子
分かりました。
養育費は8万円ということでお願いします。
その後も離婚の条件についての話し合いが続けられ、話し合いの結果、「子供の親権は申立人、面会交流は月一回、養育費は月額8万円、財産分与として相手方が家のローンを全て返済後、申立人へ名義変更、預貯金は半々、年金分割する」ということで合意した。
裁判官
愛知
担当裁判官の愛知です。
申立人の山田花子さんと相手方の山田太郎さんですね。
調停については、調停委員から様子を聞いています。
調停の合意ができたということですので、確認します。
どうですか。間違いありませんか。
申立人
山田花子
はい。間違いありません。
相手方
山田太郎
間違いありません。
調停委員
中川
前回、面会交流を行いましたが、太郎さんはどのような感想を持たれましたか。
相手方
山田太郎
愛は最初は少し恥ずかしがってましたが、時間が経つにつれて慣れてきたみたいで、学校の話や友達の話などいつものように色々話してくれました。
とても元気に学校に行っているようです。
直接話ができて、本当に安心しました。
また、自分の気持ちもとても落ち着いて整理することができました。
離婚を進めていこうと思います。
親権者は花子で構いません。
調停委員
中川
分かりました。
それでは、花子さんにその旨お伝えいたします。
――――――――――交代――――――――――
調停委員
中村
太郎さんは前回、面会交流を行ったことで、気持ちの整理がつき、離婚を決意されたそうです。
親権者も花子さんでいいとおっしゃっています。
前回の面会交流の後、愛ちゃんの様子はいかがでしたか。
申立人
山田花子
裁判所から帰るときに、花子に「お父さんどうだった?」ときいたら、「楽しかったよ」と言っていました。
私たち夫婦が一緒に生活するのはもう無理ですが、やはり夫と愛との時間は非常に重要なんだと痛感しました。
調停委員
中川
わかりました。
では、離婚について具体的に考えていきましょう。
最初、花子さんは離婚の際に慰謝料、養育費、財産分与をしたいとおっしゃっていましたが、具体的に何か考えていらっしゃいますか。
申立人
山田花子
まだ、具体的には何も考えていませんでした。
夫にどれくらい財産があるのかもよくわからないですし。
お互いに財産を開示し、慰謝料、養育費、財産分与を検討することで第3回の調停終了。約一か月後に第4回の調停が設定される。
【財産開示】
期日間で双方財産目録を提出する
調停委員
中川
前回の第一回の調停から約1か月経ちましたが、今のお気持ちはいかがですか。
相手方
山田太郎
あれからいろいろ考えましたが、ケンカの際、私は花子に色々ひどいことを言ってしまったかもしれません。
花子がショックを受けるのも信じられなくなるのも分かる気がします。
離婚もやむをえないかなと思い始めました。
でも子供のことが心配でやっぱり踏み切れません。
子供に会わせてもらえるなら、離婚ももう少し前向きに考えられるかもしれません。
調停委員
中村
離婚問題は、面会をする・しないとは別に考えなければいけません。
太郎さんとしては、離婚については検討していただけているということでよろしいですか。
相手方
山田太郎
やっぱり子供に会ってからじゃないと判断できません。
花子が本当に一人で育てられるのかも不安で仕方ありませんから。
調停委員
中川
太郎さんは面会交流というのをご存知ですか。
太郎さんがお子さんと会うような場面を設定することを面会交流というのですが、一度考えてみてはいかがでしょうか。
相手方
山田太郎
お願いします。
どうしても心配で心配で。
調停委員
中川
では、花子さんに愛ちゃんと会わせてもよいか確認してみましょう。
一度、待合室でお待ちください。
――――――――――交代――――――――――
調停委員
中川
太郎さんからお話を伺いました。
離婚についても検討されているとのことです。 ただ、愛ちゃんについては、とても心配されていて、現在の愛ちゃんの様子などを直接会ってお話ししたいと強く希望されています。
申立人
山田花子
本当ですか。
ほとんど毎日子供の世話なんかしなかったのに。
調停委員
中川
太郎さんとしては、愛ちゃんに会えるのが離婚を検討する第一条件なようです。
私たちとしては、太郎さんが愛ちゃんに会うのは、愛ちゃんにとって太郎さんは父親ですし、子供が健全な発育をするためには両親の協力も不可欠だと思います。
太郎さんと愛ちゃんが会うことを面会交流というのですが、それをしてみてはどうかと思います。
面会交流を実施してみて、太郎さんが今後も愛ちゃんに会えるという実感がつかめないと離婚のお話合いも前に進まないと思うのですが、いかがでしょうか。
申立人
山田花子
愛に会わせたら、連れされられてしまいそうな気がして、心配なのですが。
調停委員
中川
心配もおありだと思いますが、愛ちゃんと太郎さんとの今後の関係をどうするのかということもかんがえないといけません。
ご本人同士だけで不安ならば、裁判所で家庭裁判所の調査官が立ち会って、面会させるという方法もありますよ。
申立人
山田花子
裁判所の方が一緒なら大丈夫かもしれませんが。
・・・わかりました。一度夫へ会わせてみます。
調停委員
中村
分かりました。
では、試行的面会交流を実施しましょう。
【試行的面会交流】
家庭裁判所で調査官立会いの下、面会が行われる。
面会の状況は、調査官によって報告書が作成され、申立人、相手方調停委員が確認する。
申立人:妻(山田花子、専業主婦)
相手方:夫(山田太郎、会社員)
妻より離婚調停を申し立てました。
裁判所より、申立人へ期日調整の連絡が入り、調停委員と申立人の予定が合う日に期日が決定されます。
そして裁判所より、相手方へ出頭を求める書面(調停期日通知書)が送られます。原則として、同時に申立書の写しが送付されます。また、事情説明書の提出を求める場合が多いです。
申立人である妻も、裁判所より、事情説明書の提出が求められます。
申立人と相手方は期日の2週間前までに事情説明書を記入し、裁判所へ提出します。
調停は平日に行われ、1回の時間はおおむね2時間程度です。申立人待合室、相手方待合室でそれぞれ待機し、原則として交互に調停室へ入り、調停委員と話し合いを進めていきます。必要に応じて、家庭裁判所調査官が、調停期日に立ち会ったり、調停期日の間に未成年の子の監護の状況などについて調査を行う場合もあります。
調停委員
中村
それでは、1回目の調停を始めます。
申立人の山田花子さんですね。
私は調停委員の中村と申します。
よろしくお願いいたします。
調停委員
中川
調停委員の中川です。よろしくお願いいたします。
まずご本人確認をさせていただきたいので、身分証明書を見せていただけますか。
(申立人が運転免許証を提出する。)
ありがとうございます。
調停委員
中村
まず調停についてご説明させていただきます。
調停とは、裁判と違って、どちらが良い悪いを裁判所が判断するということではなく、話し合いを通じて、できるだけお互いが納得のいくような解決策を見つけていこうとするものです。
私たち調停委員は、そのためのお手伝いをさせていただきます。
調停委員
中川
調停では、ご自身の率直なご意見をお聞かせください。
調停で話された内容については、家庭裁判所外部に漏れることは一切ありません。
調停委員
中村
では、今回山田花子さんから提出された申立書の内容についてお話ししましょう。
花子さんが提出された申立書の趣旨のところに、「相手方と離婚、長女の親権者は申立人」とありますが、間違いありませんか。
申立人
山田花子
間違いありません。
夫には二度と会いたくありません。
一日でも早く夫と離婚したいです。
調停委員
中川
申立の実情に記載された内容に間違いはありませんか。
申立人
山田花子
間違いありません。
夫は3か月ほど前から帰らない日が何日かあり、また休日にも家族に黙って外出するようになりました。
今思うとこのころから浮気をしていたんだと思います。
このようなことがたびたび続いたため、先日夫を問い詰めたところ、夫は逆上して、私や子供に対して暴言をはき続けました。
そのことがショックで私は離婚を決意し、実家に戻りました。
その後、何度か話し合いの場を持とうと思いましたが、その時の夫の態度がとても怖かったので、夫と直接話し合いをする勇気がもてませんでした。
そのため、離婚調停を申し立てました。
私としては、夫との離婚ももちろんしたいですが、申立書にも書いた通り慰謝料の請求をしたいです。
また、あのような態度をとる夫に二度と子供は会わせたくないです。
調停委員
中村
お話しいただいてありがとうございます。
ご事情は理解できました。
今お話しいただいた内容を相手方の太郎さんにもお伝えし、太郎さんのご事情も伺いたいと思います。
一度、申立人待合室でお待ちください。
――――――――――交代――――――――――
(調停委員が相手方待合室に山田太郎さんを呼びにいきます。)
調停委員
中村
はじめまして。
相手方の山田太郎さんですね。
私は調停委員の中村と申します。
よろしくお願いいたします。
調停委員
中川
調停委員の中川です。よろしくお願いいたします。
まずご本人確認をさせていただきたいので、身分証明書を見せていただけますか。
(相手方が運転免許証を提出する。)
ありがとうございます。
調停委員
中村
裁判所から突然、調停期日通知書と申立書の写しが届いてびっくりされたでしょう。
調停とは、裁判と違って、どちらが良い悪いを裁判所が判断するということではなく、話し合いを通じて、できるだけお互いが納得のいくような解決策を見つけていこうとするものです。
なかには申立人から訴えられたという被害感情を持たれる方がいらっしゃいますが、調停は家庭裁判所の場を使って話し合うというご理解を頂けたらと思います。
私たち調停委員は、そのためのお手伝いをさせていただきます。
調停委員
中川
調停では、ご自身の率直なご意見をお聞かせください。
調停で話された内容については、家庭裁判所外部に漏れることは一切ありません。
調停委員
中村
先ほど、申立人の花子さんより今回調停を申し立てた事情などを伺いました。
花子さんからお聞きした内容としては、太郎さんがある女性と付き合われるようになってから、無断外泊などがあり、不信感や不満を持っていらっしゃったそうです。
そのことを花子さんに問い詰められた際に、太郎さんが非常に高圧的な態度をとられたことについて、かなりショックを受けられ、太郎さんと面と向かってお話合いできなくなってしまったそうです。
調停委員
中川
これを聞いて、太郎さんのご意見はありますか。
相手方
山田太郎
そうですか。
私がほかの女性とお付き合いしていたことは、事実です。すみません。
でも、言い訳になってしまいますが、会社でのストレスがたまってて。
家に帰っても妻も子供も全然相手をしてくれなかったので、つい同僚の女性で優しくしてくれる人にふらりと気持ちがいってしまいました。
そのことについては、申し訳ないと思っています。
でも、離婚なんておおげさじゃないですか。
調停委員
中村
花子さんは、太郎さんを問い詰めた際の太郎さんの態度に、非常にショックを受けているようですが。
相手方
山田太郎
たぶん飲んでいたと思うので、あまり覚えていません。
花子も言い方がきついときがあるので、ついムカッと来たのかもしれません。
夫婦でケンカになることなんてよくあることじゃないですか。
そんなにめずらしいことじゃないですよ。
調停委員
中川
でも花子さんにとっては非常にショッキングな出来事だったようですよ。
相手方
山田太郎
はあ。
私には理解できませんが。
調停委員
中村
お互いの受け止め方がずれているのですね。
先ほど花子さんとお話した限りでは、花子さんは離婚の意思は固いようですが。
相手方
山田太郎
先ほども言いましたが、こんなことで離婚なんて、考え直してほしいです。
子供もいますし、私としては今まで通り家族3人、仲良く暮らしていきたいです。
あの日以来、子供にもあっていないので愛が元気なのかとても心配しています。
調停委員
中川
太郎さんのお気持ちはわかりました。
今お話しいただいたことを、花子さんにお伝えし、愛ちゃんのことも聞いてみます。
もう一度、相手方待合室でお待ちください。
――――――――――交代――――――――――
(調停委員が申立人待合室に山田花子さんを呼びにいく。)
調停委員
中川
お待たせいたしました。
先ほど、花子さんからお聞きした内容を太郎さんにお伝えしました。
どうやら、仕事のストレスのせいで他の女性とお付き合いをしてしまったようです。
それについては謝罪をされてました。
離婚については花子さんにもう一度考え直してほしいとのことです。
あと、お子さんにずっとあっていないので、とても心配されていました。
申立人
山田花子
夫の意見はわかりました。
でも私としては、夫を信用することができないので、やり直すつもりはありません。
愛はちゃんと元気でいますし、ちゃんと学校にも行っています。
夫に会わなくてもちゃんと私が育てていきます。
調停委員
中村
離婚された後、今後どうやって暮らしていこうとお考えですか。
まだ愛ちゃんも小さいので、経済的な心配はあるかと思うのですが。
申立人
山田花子
離婚の際に慰謝料、財産分与、養育費はきっちり決めておこうと思います。
あとは、私が仕事をなるべく早く見つけて、安定した収入を得られるようにしていこうと思っています。
あと、自分の両親も健在ですので、多少支援を受けられると思います。
お互いに、今後について考えてくるということで第1回目の調停終了。申立人と相手方の都合を確認した上で、第2回期日が約1か月後に指定された。
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⇒ インターネットで検索時常にトップページに表示され離婚案件の取り扱い実績が多かった。
⇒ 思う。何を決めておかなければならない事、可能性の有無をわかりやすく説明して下さったので。
⇒ ほかの弁護士相談ではすぐに費用面の話になったり離婚をすすめられるような感じでした。こちらではどちらにしたらこの例が多くみられるか、個々の内容次第だけども、とわかりやすい説明でした。書面の書き方なども教えていただき少し落ち着くことができました。
熟年離婚の場合、夫婦共有財産の財産分与と相続の問題は密接に関係しています。
以下は、事例に基づいて財産分与と相続を比較してみましょう。
事例
夫婦の間に成人した2人の子ども(長男と長女)がおり、
夫婦共有財産として自宅の土地建物(3000万円相当、夫名義)、預金2000万円、車1台(現在価値200万円、夫名義)がある場合
財産分与は、離婚時又は別居時の夫婦の共有財産を折半するものですので、上記財産の合計額5200万円を、夫と妻で2600万円ずつになるように分与します。
ただ、土地建物や車は現物を半分にするわけにはいきませんので、仮に妻が土地建物を取得する場合には、土地建物の名義を妻に変更したうえで(名義変更費用は、名義変更を受ける側、この例では妻が負担することが多いです。)、土地建物の半額に当たる1500万円を夫に支払うことになります。
なお、離婚後に夫又は妻が死亡した場合には、長男と長女が相続人となるため、夫又は妻の死亡時の財産を、長男と長女それぞれが2分の1ずつ相続することになります。
夫が死亡した場合、妻が2分の1、長男が4分の1、長女が4分の1の財産を相続することになります。すなわち、妻が2600万円、長男が1300万円、長女が1300万円となるように財産を分けます。この場合も、土地建物や車などの現物を分けられないものについては、土地建物または車を取得した人が、本来受け取るべき相続分を上回る部分を現金で支払うなどの方法を考える必要があります。
注意すべき点は、財産分与の場合と異なり、相続の対象となる財産は夫婦共有財産だけでなく、夫が夫の両親から贈与を受けた特有財産も対象になるということです。例えば、夫が母親から1000万円の預金を贈与されていれば、夫の財産の合計額は6200万円となり、妻の取得分は3100万円、長男及び長女の取得分はそれぞれ1550万円となります。
以上のように、財産分与の場合と相続の場合では、子どもに財産が移転する順番が異なります。
また夫婦のいずれかに特有財産がある場合には、配偶者の取得する財産の額が変わってくるなど、結論が大きく異なります。
「夫(妻)が亡くなったときのことを考えるなんて…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今後の生活のためにお金の問題は避けて通れません。そして、熟年離婚では、離婚に伴うお金の問題が相続と密接に関わってしまうことはやむを得ないことなのです。
夫婦の年齢、配偶者の財産をあなたがどれくらい把握しているのか、夫婦それぞれの子どもとの関係など、熟年離婚で考えるべきことはたくさんあります。
「あの時ああしておけばよかった…」と後で後悔しないためにも、お早めに弁護士にご相談ください。
婚姻費用の額は、原則として話し合いで決めるものであり、明確な基準はありません。
しかし、現在は、家庭裁判所の示す
婚姻費用算定表がありますので、これを参考にするとよいでしょう。
夫婦間で自由に決める事ができる婚姻費用ですが、通常は以下の事情を考慮して金額が決定されます。
支払う側の年収が多ければ多いほど、婚姻費用の金額も大きくなります。
受け取る側の年収が少なければ少ないほど、婚姻費用の金額も大きくなります。
ですので、専業主婦の場合は婚姻費用も比較的高額になる傾向があります。ちなみに、婚姻費用を請求する側には、収入があっても問題ありません。少しでも収入に差があれば婚姻費用の請求は可能です。
婚姻費用には子どもの養育費が含まれます。そのため、子どもの人数が多いほど婚姻費用も高額になる傾向があります。
婚姻費用には子どもの教育費も含まれます。子どもの年齢が高いほど教育費がかかる傾向にあるため、それに伴い婚姻費用も高額になる傾向があります。
婚姻費用の算定表は裁判所HPから見ることができます。
算定表は、算定される婚姻費用の額を、義務者が極めて低収入の場合は1万円、それ以外の場合は2万円の幅を持たせて整理し、子の人数(1~3人)や年齢(0~14歳と 15~19歳の二区分)に応じて用意されています。
⇒
養育費・婚姻費用算定表(裁判所HP)
では、例をあげて具体的にみていきましょう。
「表13 婚姻費用・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)」を選択します。
支払う側が給与所得者か自営業かによって、使用する縦軸が変わります。
ここも支払う側と同じように給与所得者か自営業かにより、使用する横軸が変わります。(2)と同様に選択してください。
今回はパートで年収100万円なので、外側の横軸「給与」を使用し、「100」を基準として選択します。
支払う側と支払われる側の年収を確認したら、年収のラインが交差するマスを確認します。
以上より、 婚姻費用の目安は12~14万円 となります。
※掲載内容は改定等により、現在とは異なる場合がございますのでご注意ください。
夫婦間の協議で婚姻費用の分担額を決定し、支払ってもらえれば一番よいのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
このような場合、家庭裁判所の調停を利用することができます。
婚姻費用の分担請求調停の申立てに必要な書類は以下の通りです。
その他、進行に応じて、追加書類の提出が求められる場合があります。
相手方に現在の住所を知られたくないなどの事情がある方は、住所上申書を提出することにより、住所を記載しないことが可能です。
調停を申立てた場合、相手側に書類を郵送する必要から切手代を裁判所に提出することになります。金額は各家庭裁判所により異なりますが、おおよそ900円前後です。
申し立てをする家庭裁判所は、相手方の住所地の管轄、または、お互いの合意によって任意に定めることができます。
愛知県内の家庭裁判所は4つあります。
裁判所 | 住所 |
---|---|
名古屋家庭裁判所(本庁) 家事受付センター | 〒460-0001 名古屋市中区三の丸1-7-1 |
名古屋家庭裁判所 一宮支部 | 〒491-0842 愛知県一宮市公園通4-17 |
名古屋家庭裁判所 半田支部 | 〒475-0902 愛知県半田市宮路町200-2 |
名古屋家庭裁判所 岡崎支部 | 〒444-8554 愛知県岡崎市明大寺町奈良井3 |
名古屋家庭裁判所 豊橋支部 | 〒440-0884 愛知県豊橋市大国町110 |
調停手続きは、裁判官・調停委員らによって、双方の意見を調整しながら話し合いによって合意に達するよう進められます。夫婦間で婚姻費用の合意ができれば調停が成立しますが、折り合いがつかず、又は調停期日を数回開いても、相手方が出頭しないようなときには調停は不成立となり終了します。
調停では、2名の調停委員を介して話し合いをするため、直接相手方と話し会う必要がありません。相手方と顔を合わせずに意見を言うことができるので、「相手方の前では言いたいことが言えない」とか「相手方と顔を合わせたくない」と考えている方にとって調停はとても良い手続きです。
仕事で出頭することが難しい方などは、弁護士に代わりに出てもらうことが可能です。もっとも、弁護士を代理人につけてもできるだけ具体的な事情を調停委員等に伝えた方がよいので、本人も弁護士と共に参加することが望ましいです。
申立てをすると、第1回の調停期日の日が記載された呼出状が申立人と相手方に届きます。呼出状が届くのは申立てから2週間ほど経過した頃です。通常、第1回の調停の期日は申立てから1ヶ月~1ヶ月半後となります。
第1回の調停では、算定の基礎となる申立人及び相手方の源泉徴収票や直近3ヶ月分程度の給与明細の持参を求められることが多いです。
第2回目以降の調停についても、ほぼ第1回と同様の流れで進みます。
以後、合意に至るまで行われます。
調停が成立すると、調停案が作成されます。内容に問題なければその後1~2週間で調停調書が郵送されます。調停調書があると、後に相手方が婚姻費用を支払ってくれないという事態になっても強制執行することができます。夫婦間の協議による合意の場合はこうはいきません。必ず強制執行文言付の公正証書を作成しましょう。
一方、調停が不成立となった場合には自動的に審判に移行するケースが多いです。
審判では、裁判官が調停に提出された資料などを総合的に判断して婚姻費用を決定します。
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土曜 | 9:30-17:00 |
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愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町
蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町
東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
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