日本では、女性のがんの中で患者数が最も多いのが乳がんです。乳がんの患者数は増え続けており、現在、約20人に1人の女性が乳がんを経験するといわれています。年齢ごとに見ると、40歳前後を境に、乳がんにかかる人が急激に増加する傾向にあります。今では、1年に1万人以上の方が乳がんで亡くなっています。
乳腺は小葉と乳管からなっています。乳腺は乳頭から木の枝のように放射状に広がり、その先に小葉と呼ばれる母乳を作るところがあります。母乳を乳頭まで運ぶのが乳管です。乳がんの多くは、この小葉を構成する細胞から発生します。乳房の変化に気付かず放置していると、がん細胞が増殖して乳腺の外にまで広がり、リンパや血液の流れにのって、肺や肝臓、骨など乳房から離れた臓器にまで及びます。乳がんが、しばしば全身病と呼ばれるのはこのためです。
がんが、まだ乳管や小葉の中にとどまっているものを「非浸潤がん(DCIS)」もしくは「乳管内がん」と呼び、この段階で発見し治療した場合は、約90%が治癒します。ただし非浸潤がんの段階では、乳房を触ってもしこりを感じることはまず期待できません。この段階の乳がんを発見するためには、乳房専用のX線を用いたマンモグラフィや超音波装置を用いた乳がん検診が必要です。乳がんにおいて検診の重要性、早期発見・早期治療が叫ばれている理由はここにあるのです。
まだ乳がんについての研究が浅かった1980年代のアメリカで、乳がんで娘を亡くした女性が、その娘の子(実孫)に、同じ悲しみを繰り返さないよう願いを込めて手渡したものがピンク色のリボンであったことに端を発し、乳がんを知り・考えるきっかけを与える運動として世界中に広まったといわれています。日本で、広く認知されるようになったのは、2000年代に入ってから、日本最大の乳がん患者支援団体である「あけぼの会」が東京タワーをピンク色にライトアップした事がきっかけです。その後、運動は拡大しており、10月1日の「ピンクリボンデー」には、東京都庁舎、レインボーブリッジ、神戸ポートタワー、明石海峡大橋、そして名古屋城などをピンク色にライトアップし、いずれも大勢の人へ視覚という形で、ピンクリボン運動の認知度向上へ貢献しています。
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